室屋義秀選手がエアレース開幕戦V 王座奪還へ最高の滑り出し

  このエントリーをはてなブックマークに追加 
表彰式で笑顔を見せる優勝の室屋義秀=9日午後5時50分ごろ(日本時間同日午後10時50分ごろ)、UAE・アブダビ

 レース専用飛行機の国際大会「レッドブル・エアレース・チャンピオンシップ」の今季開幕戦となるアブダビ大会の決勝が9日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで行われた。2017年の年間総合王者で、予選を1位通過した室屋義秀(46)=福島市=は1、2回戦を危なげなく突破。最終レースも安定したフライトで優勝を飾り、王座奪還へ最高の滑り出しを見せた。

 室屋は1回戦の「ラウンド・オブ・14」で昨季総合10位のニコラス・イワノフ(フランス)、2回戦の「ラウンド・オブ・8」で昨季総合9位のフアン・ベラルデ(スペイン)に快勝。1人が棄権したため3人で争った最終レースの「ファイナル4」では53秒780を記録。昨季総合王者のマルティン・ソンカ(チェコ)に1000分の3秒差で勝利した。獲得ポイントは予選の3点と合わせて28点。

 室屋は「一貫して安定した飛行ができた。昨季の経験が生きており、良いシーズンになりそうだ」と笑顔を浮かべた。

 初戦完勝「精神的な成長...実感」

 今季開幕戦となるレッドブル・エアレースのアブダビ大会。王座奪還を掲げる室屋義秀(46)=福島市=は9日の決勝で抜群のフライトを見せて優勝した。「ソンカ(2位)とは1000分の3秒差、距離でいうと約20センチ。今までにないね」と驚きながら勝利の喜びをかみしめた。

 「予選とは風向きも温度も違う中、決勝前にチームメンバーがアドバイスをくれた。メンバーのおかげで勝てたんだ」。レース後のインタビューで室屋は勝因を挙げた。

 決勝は、予選の順位に基づき1対1で対戦する1回戦の「ラウンド・オブ・14」、2回戦の「ラウンド・オブ・8」の順で行われ、4人が最終ラウンドの「ファイナル4」に進む。飛行回数は各1回で白熱した戦いになる。

 室屋は1、2回戦を万全な飛行技術で突破し、最終ラウンドに進出。ニコラス・イワノフ(フランス)が機体のトラブルで棄権したため、マルティン・ソンカ(チェコ)、マイケル・グーリアン(米国)との三つどもえの争いとなった。結果、室屋は2人を押さえ、2度目の世界王者に向けて好スタートを切った。

 室屋は決勝前、報道陣の取材に応じていた。余力を残したコース選びで予選を1位通過し「(予選は)会心の飛行ができ、優勝の手応えを感じている」と笑みを浮かべた。一方、一発勝負で何が起こるか分からない決勝に気を引き締めながら「予選1位をあまり意識せず、安定したフライトに集中したい」と語った。

 開幕戦から好調な室屋には心境の変化がある。2017年シーズンに王者に輝き、迎えた18年シーズン。重圧や焦り、周辺環境の変化などに悪戦苦闘し、18年シーズンの後半、ようやく壁を乗り越えた。「精神的に成長できたという実感がある。今はコンディションがすごくいいんだ」と笑顔がひときわ輝いた。

 震災前から福島市のふくしまスカイパークを拠点とする室屋は、エアレースを通じて、原発事故の風評に苦しむ本県の現状を正しく世界に伝えることに尽力してきた。本県への感謝の思いを語りながら「(自分は)コックピットで頑張る。県民はチームメンバーのような思いを持ってほしい。今季はみんなの期待に応える」と王座奪還を誓う。定評のある技術に加え、精神力に磨きをかけた室屋の返り咲きに注目だ。