心打つ弟子への言葉 福島医大前学長、30年間つづった手紙書籍化

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「学長からの手紙」を手に約30年間の執筆の日々を語る菊地さん

 前福島医大理事長・学長で、同大常任顧問の菊地臣一さん(72)が同大教授就任以来、医師を目指す門下生のためにつづった手紙が、冊子として発刊された。医師としてのマナーや心得をつづり、弟子たちへの愛情、激励に満ちた言葉は他の道を歩む人々の共感を呼び、話題となっている。

 菊地さんは1990(平成2)年10月、福島医大整形外科教授に就いた。就任当時の小さな教室に抱いた菊地さんの目標は「腰痛では世界一のチームにすること」。菊地さんはその日から折に触れて、門下生宛てに手紙を書き、礼節や心構え、患者を思う心、教訓、経験談などを伝えてきた。

 菊地さんはその日々を「人を育てながら教室は大きくなり、国際学会から7年目で世界一のチームとして認められた」と振り返る。約30年間にわたり書きつづった言葉は医師のテキストとして国内外の大学に広まったほか、福島医大のホームページなどを通して多くの人々の心を捉えてきた。

 「人より努力しないで 人より上に立つと思うな」「悲しみの数だけ優しくなる」。人生の真理とは何かを問い詰める文章は執筆当時から反響が大きく、菊地さんのもとに県内の女性から「自殺を考えていたが、思いとどまることができた。生きる勇気を与えられた」との手紙が届くこともあった。

 発刊された本のタイトルは「学長からの手紙」。本編225編に式典での学長式辞などを加えて上下2巻として書籍化し、関係者に配布している。菊地さんは発刊に際し「本音で書き、事実を書いてきたからこそ、人の心を打つのかもしれない。頑張ろうと思う若者らの一助となれば、うれしい」と話す。