第1原発『廃炉』全体像見えず 課題山積...欠かせない性状分析

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 東京電力は14日、福島第1原発2号機で13日に行った調査で、溶け落ちた核燃料(デブリ)とみられる堆積物への接触に成功した動画を公開、10カ所の調査地点のうち、7カ所で堆積物を持ち上げることができたと発表した。デブリ取り出し工法の確定に向けて前進した一方、第1原発では最難関とされるデブリ取り出し以外でも課題は山積しており、廃炉計画の全体像は見えてこない。

 東電は動画で格納容器底部6カ所、圧力容器直下の作業用足場(プラットホーム)4カ所の調査の様子を公開した。作業用足場については14日に、2カ所で堆積物を持ち上げられたことが判明。13日に発表のあった格納容器底部の5カ所と合わせて、7カ所で持ち上げられたことになる。

 両日の発表で共通しているのは、小石状の堆積物なら取り出せる可能性があることだ。東電は2019年度下期に2号機で少量のデブリを採取する計画で、小石状の堆積物を取り出すことで「性状分析」ができることを示した。本格的なデブリの取り出しに性状分析は欠かせず、角山茂章県原子力対策監は「性状を分析して本格的にデブリを取り出す戦略を早く決める必要がある。そのことが安全・着実な廃炉作業につながる」と指摘する。

 実効性ある計画焦点

 大量のデブリがある、炉心溶融(メルトダウン)した1~3号機で、未解明だった格納容器内の様子が明らかになり始めている。内部に水がたまる3号機では17年7月に水中ロボットでデブリとみられる堆積物を初めて撮影。2号機では18年1月にカメラ付きパイプを使って溶け落ちた燃料集合体の一部を確認、周辺の堆積物がデブリであるとほぼ断定した。1号機ではデブリを未確認だが、19年度にボート型ロボットを入れて堆積物を採取する計画だ。

 デブリの性状は硬軟さまざまと考えられ、把持できない堆積物については技術開発が必要になる。廃炉工程表では19年度にデブリを取り出す初号機と方法を決め、21年に取り出しを始めるとしているが、実効性のある計画を立てられるかどうかが焦点となる。

 プールから搬出必要

 第1原発ではデブリの取り出しだけでなく、原子炉建屋上部にあるプールから使用済み核燃料を搬出する難関も残る。炉心溶融を免れた4号機では14年に1535体の取り出しを終えたが、1~3号機では未使用も含めて順に392体、615体、566体が残されたままだ。強い放射線を出す使用済み核燃料は廃炉作業を進める上で大きなリスクとなり、プールから早く取り出す必要がある。

 だが3号機では18年3月以降、遠隔操作で燃料を取り出す燃料取扱機と、輸送容器をつるすクレーンでトラブルが頻発。昨年11月に予定していた燃料搬出が今年3月にずれ込んだ。2号機でも搬出準備は進むが、原子炉建屋屋上の空間放射線量の最大値が毎時148ミリシーベルトに上り、12年調査時点の毎時880ミリシーベルトから6分の1程度に低減したものの、依然として人が作業できない厳しい環境にある。

 処理水の扱いも課題

 第1原発の汚染水を浄化した後に残る、放射性物質トリチウムを含む処理水の取り扱いも課題だ。

 第1原発構内に林立するタンクでの貯蔵量は間もなく100万トンに達する見込みで、東電の保管容量137万トンが迫る。

 原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は、科学的な安全性を踏まえ、希釈して排水の法令基準を下回れば海洋放出を容認する立場を示している。ただ、風評を懸念する漁業関係者らの反発は強く、昨年8月の公聴会でも反対意見が相次ぎ、国の小委員会での議論も道半ばだ。

 30~40年とされる廃炉作業の完了には依然不透明な部分が多く、東電には住民への丁寧な説明を前提にした、明確な廃炉の道筋を示すことが求められる。