震災の教訓を生かす...津波避難高まる意識 いわき・久之浜地区

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2016年の津波警報で実際に使用された蹴破り戸。住民の意識が高まっている裏付けとなった=いわき市・地域防災交流センター

 本県沖でマグニチュード(M)7~7・5の大地震が発生する確率を「50%程度」とした政府の地震調査委員会による新たな予測。東日本大震災の津波で多くの住民が犠牲になった本県沿岸部では、震災を教訓とした取り組みが続く。

 東日本大震災の津波などで69人が犠牲となったいわき市北部の久之浜地区。2016(平成28)年11月の地震で出された津波警報では、市が整備した地域防災交流センターに近隣住民が避難、意識の変化が表れた。

 警報が出された11月22日午前6時ごろ、職員が出勤前でセンターは無人だったが、近隣住民は訓練で学んだ「蹴破り戸」を破壊して施設内に避難した。市久之浜・大久支所の植田正剛主幹・次長(58)は「住民の意識の高まりを感じた。われわれも市民も震災を経験したからこそ、動けることもある」と振り返る。

 同センターは、同年2月に支所と公民館機能を持たせた防災拠点として開所。防災訓練を行い、周辺住民に一時避難場所としての機能を持つ同拠点の活用法を説明したばかりだった。津波で自宅を失った男性(73)は震災後、若者が減ったことを危惧し、高齢者ら弱者救済を踏まえた防災訓練を訴える。「震災前は『まず避難所へ』だったが、震災後は状況判断がまず重要だと知った」と"次の災害"への備えを口にした。

 渋滞対策の表示板/住民訓練毎年継続

 2016(平成28)年11月の地震で津波警報が発令されたいわき市では当時、各地の道路で渋滞が発生。スムーズな避難に向けた対策として市は新年度、市内の道路にドライバー向けの避難誘導表示板を設置する。表示板は市内の190カ所程度を予定。目につきやすい場所に整備することで、有事の際に自動車での避難者に役立ててもらい、渋滞の発生を緩和する対策だ。

 ただ、市は歩行が困難な人や車を持たない人などを除き、原則として徒歩での避難を呼び掛ける。

 広野町は14年、双葉郡内では震災後初となる住民対象の避難訓練を実施。以降は毎年継続しており、昨年は町内31カ所に避難場所となる高台までの経路を示す案内板も設置した。町環境防災課の担当者は「地震、津波の記憶と教訓を風化させないためにも訓練を繰り返す必要がある」と力を込める。

 一方、17年4月に居住制限、避難指示解除準備両区域への避難指示が解除された富岡町。昨年10月に町に戻った女性(76)は「再び大きな地震が起きた時に津波から命を守れるよう備えてほしい」と訴える。

 東京電力福島第2原発が立地する町は県と連携し、原子力災害を想定した避難訓練などに力を入れてきたが、津波訓練は実施していない。