原発「知らない怖さ」出発点 小林さん、ロボットで人を幸せに

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廃炉創造ロボコンに出場した仲間と小林さん(左)。ロボット作りの楽しさを実感した

 東京電力福島第1原発事故が発生し、思ったのは「なぜ事故が起きたのか」だった。機械好き女子の"メカジョ"を称する福島高専機械工学科5年の小林由佳さん(20)=いわき市=は「廃炉に限らず、介護や災害救助などロボット技術で人を幸せにしたい」と未来を描く。

 「(原発が)爆発した。この辺もやばいぞ」。原発事故が起きたのはいわき市小名浜の小学校に通っていた6年生の時だった。原発や放射線に関する知識がない中「とにかく危ないから」との理由から家族で避難した。知らないからこそのおびえがあった一方、子ども心ながら「どうしてそこまで怖がるのか」との気持ちも抱いた。周囲が持っていた「知らない怖さ」に、違和感があった。

 小学校でエネルギーについて学び、火力、風力、原子力などさまざまな発電方法があることを知った。原発を見学した記憶も残っており、原発事故が起きた時には「安全だって言っていたのに」とだまされた気分になった。

 原発事故の怖さというよりも「なぜ起きたか」を知りたかった。高専に進み、廃炉に向けた人材育成のための授業を受けるようになり、原発事故当時の状況が見えてきただけでなく、廃炉作業やロボット開発が行われていることを知った。高専で原発事故の経過や廃炉での技術開発の難しさを学んだからかもしれないが、前例がなく、一筋縄ではいかない中で一歩一歩前進している廃炉作業で、問題が起きるたびに上がる批判的な声に「そんなに責めないで」と思うこともある。

 過去2年間、全国の高専生が廃炉ロボットの技術を競う「廃炉創造ロボコン」に挑戦した。チームリーダーを務めた昨年はアイデア賞を受賞。試行錯誤を重ねて開発したロボットは「完成度は低いかもしれないが、しっかりと動いてくれた。ものづくりの楽しさと感動をもらった」と振り返る。4月から長岡技術科学大(新潟県)に進み、さらに高度なロボット技術を学ぶ。

 県産品への風評が残る中「ロボットの先進地など、いい意味で福島が有名になったら」と願う。「事実と異なることを言われたら正しい情報を伝えたい。正しいことを知るのはとても大切だから」。知らない怖さの原因を知った今だからこそ、発信できる。