真っ向から対立...「津波の予見可能性」 東京電力強制起訴裁判

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 東京電力福島第1原発事故を巡る強制起訴裁判は、検察官役の指定弁護士と弁護側の主張が真っ向から対立したまま結審した。9月19日の判決では、最高経営層だった勝俣恒久元会長(78)と武黒一郎(72)、武藤栄(68)の両元副社長が、大津波の危険性を具体的に予見できたかどうかの判断が最大の焦点となる。

 予見可能性を巡る立証で最も時間が割かれたのは、政府が本県沖での大津波の可能性を指摘した見解(長期評価・2002年7月公表)の信頼性。検察官役の指定弁護士は「長期評価は国の公式見解で確立した知見」との立場を取る一方、弁護側は「内閣府が内容を疑問視し、専門家でも意見が分かれた」と訴えている。

 原発事故を巡って全国で展開されている集団訴訟では、この長期評価を根拠に国や東電の津波の予見可能性を認める判決が示されている。より詳細な立証が求められる刑事訴訟で、裁判官が長期評価をどのように判断するかが注目される。

 東電が事故前、長期評価に基づく第1原発での津波対策の実施を一度は決定し、その後方針を撤回したとする元幹部の検察官面前調書もポイントだ。指定弁護士はこの調書を「重要証拠」と位置付ける一方、3人と弁護側は「元幹部の勘違い」「裏付けがなく、具体性に欠ける虚偽の内容」などと信用性を否定している。弁護側は「東電が事故前に第1原発での津波対策を決めた事実はない」と主張しており、調書の扱いが事実認定を左右する可能性もある。