本当の福島知って...英学生と音楽交流へ 演奏家・日置さん尽力

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本番を前に相馬子どもオーケストラの子どもたちを指導する日置さん(中央)

 「希望に満ちた子どもたちがいる、本当の福島の姿を知ってほしい」。震災から8年が過ぎた今なお、海外での福島に対する印象が、本県復興に向けた壁の一つとなっている。その中で、本県に関わってきたバイオリニスト日置駿さん(25)は海外への復興発信につなげようと、英国の学生と相馬市の子どもたちが共に演奏する場をつくり上げた。同市で24日に開かれる「子ども音楽祭」で実現する両者の共演を目前に控え、準備にも熱が入る。

 「福島って人が住めないんだっけ」。2017(平成29)年11月、英国・オックスフォード大で現地の男子学生から出た言葉に、同大に留学していた日置さんは衝撃を受けた。「震災から6年半が経過しても、イメージで語られてしまっている」

 日置さんは留学前の慶大在学中、相馬市の「相馬子どもオーケストラ」の講師として定期的に同市を訪れていた。震災直後の不安げな子どもたちが音楽を通じて次第に生き生きとしていく姿―。「直接見て自分の意見を持ってほしい」。福島で見た光景があったからこそ、突き動かされた。

 所属するオックスフォード大オーケストラの幹部学生や教員に、本県での演奏計画を示すと賛同が集まった。「福島の声が知りたい」という声も多く上がった。資金を募り、1年半かけて同楽団の初来日の準備を進めてきた。

 24日は両オーケストラが英国の行進曲「威風堂々」と相馬の民謡「相馬盆唄」の2曲を共に演奏する。本番を前に17日、相馬市で相馬子どもオーケストラのステージ練習が行われ、子どもたちが本番に備えた。半谷隆行さん(16)は「震災があったからではなく、あったからこそ周りの支援で元気に過ごせている。大丈夫だと示したい」と力を込める。

 演奏だけでなく、来日するメンバーには相馬市沿岸部など被災地を見学してもらう予定だ。「国を超えて互いを知るきっかけになると思う。音楽にはその力がある」。日置さんは、そう信じている。

 23、24日に音楽祭

 子ども音楽祭は23、24の両日、相馬市民会館で開かれる。エル・システマジャパン(東京)の主催で5回目。初日は同市の中学、高校の生徒による吹奏楽や相馬子どもコーラスによる歌などが披露される。23日は午後2時、24日は午後1時開演。入場無料。