「震災前の風景戻って」 被災のクロマツ、相馬・松川浦に帰る

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中州にクロマツの苗を植える花沢さん(手前右)、遠藤さん(中央)と復興応援職員ら

 東日本大震災の津波で海岸林が流失した相馬市磯部の松川浦の中州で20日、県相双農林事務所の復興応援職員によるクロマツの植樹が行われた。植樹したマツは同地区の花沢昭夫さん(76)、遠藤時雄さん(84)が震災後に中州に残された苗を見つけて育ててきた。同日は花沢さんらも作業に加わり「震災前の風景に戻すため元々あったマツを植えたかった。思いがかなった」と声を震わせた。

 花沢、遠藤さん苗養生

 ノリ漁に携わっていた花沢さんは2014(平成26)年4月、漁業復興に向けた松川浦のがれき撤去のため中州を訪れた。ほとんどの海岸林が流されている中、3本のクロマツが青く葉を付けたまま残っているのを見つけた。

 周辺は元々「白砂青松」の景勝地で知られた松林。その景色に親しんでいた花沢さんは、「このマツを絶やしてはならない」と思い立った。保安林のため市や県に相談して許可を求め、中州から計56本のマツ苗を回収。隣に住む遠藤さんと協力して、マツの苗や種を使って自宅の畑などで養生してきた。

 中州の造成工事が一部完了したことから、同事務所が2人の思いをかなえようと育てたマツを使用した植栽を実施。同事務所に復興支援で全国から派遣されている職員ら約40人が派遣元への帰還を前に、2人が育てたマツを含む約500本の苗を中州に植えた。22日も行う予定で計600本を植える。

 花沢さんによると、松川浦のマツは海風などにさらされ形をゆがませたからこそ美しい景色を形成していたという。

 「松川浦で育ったマツだからこそ、以前の風景が戻ることを期待したい」と花沢さん。遠藤さんも「昔は遊覧船も運航していた。またにぎわいが戻ってほしい」と力を込めた。