福島大・上石さん、有終のラジオ収録 多くの出会い糧に上京へ

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「東京で力を付け、福島のために何かしたい」と話す上石さん

 「番組を通じて、福島で頑張っている人がたくさんいると知った」。ラジオを通じて福島の今を伝え続けた女子大生がこの春、東京に旅立つ。「外から福島がどう見えるのか知りたい」。思いはいつも福島にある。

 「引っ込み思案で考えを言葉にするのが苦手だったが、思ったことを口にしないと変わらないと学んだ」

 郡山市のふくしまFMのスタジオ。福島大4年でうつくしまライシーホワイトを務める上石美咲さん(22)は自らの考えを整理するように話した。傍らには2年間にわたり上石さんの成長を促してきた番組パーソナリティーの大和田新さん(63)が見守っている。

 「大和田さんに縁をつないでもらい、多くの人と会って思いを聞き、視野が広がった」

 2人で2017(平成29)年に始めた番組は「伝えるラジオ~福島リアル~」(ふくしまFM)。東京電力福島第1原発の視察や被災地訪問などを重ね、多くの人と出会った。番組は上石さんの卒業と県外への就職を受けてこの日の収録が最終回。2年間の放送を振り返りながら、東日本大震災から8年を数えた福島の現状や今後の課題について意見を交わした。上石さんが福島民友新聞社の五阿弥宏安社長にインタビューした様子も紹介した。

 「誰が悪いとかではなく、これからどうしていくかが重要だ」

 忘れられないのは家族を津波で亡くし、震災の行方不明者の捜索活動を展開する「福興浜団」の団長を務める南相馬市の上野敬幸さんと元東電福島復興本社特別顧問の石崎芳行さん、川内村の遠藤雄幸村長をゲストに招いた回。全く異なる立場から語られる震災、復興への思いに触れた。

 「説明しても伝わらないような感覚だった。一体どうしていけばいいのか、という思いが原動力」

 震災と原発事故がなければなかったであろう経験ばかりだった。ミスピーチを務めた際には、モモを試食した相手が「福島産」と聞き、モモを吐き出したこともあった。どうやったら福島のことを知ってもらえるかを考え続けた。

 「一度福島を離れ、外から福島がどんなふうに見えるのか知りたい」

 上石さんが4月から働くのはインターネットで消費者ニーズを探るマーケティング会社。大和田さんからは「東京に行くのは良いことだと思う。これまで感じたことを、上石さんの表現で伝えてほしい」と背中を押してもらった。

 「福島に無関心な人でも『おいしいものや楽しいことが好き』という点は一緒だと思う。そこから関心や興味を持ってもらうきっかけがつくれれば。東京で力を付け、福島のためにまた何かをしたい」