「大熊町役場」新庁舎4月14日開庁 4月前半にも一部避難解除

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4月14日の開庁に向けて整備が進められている大熊町役場の新庁舎=20日午後、大熊町大川原

 東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く大熊町は20日、町大川原地区に整備している役場新庁舎の開庁式を4月14日に行うと明らかにした。町は開庁式前となる4月前半にも、同地区(居住制限区域)と中屋敷地区(避難指示解除準備区域)の避難指示を解除する方向で政府と最終的な協議をしており、渡辺利綱町長は今月末にも政府が解除日を決定するとの見通しを示した。

 会津若松市で20日に開かれた町議会全員協議会で、町側が開庁式の日程を示した。新庁舎は約1万7900平方メートルの敷地に、庁舎棟と災害対策機能棟などを建設、延べ床面積は約5200平方メートル。駐車場整備などを含めた建設工事費は約27億4100万円。

 町は会津若松、いわき、郡山の3市に分散している出張所などの役場機能と議会を新庁舎に集約し、100人前後の態勢で5月7日から本格的に業務を始める。

 避難指示解除の対象となる2地域には、2月末時点で全町民の3.6%となる374人(140世帯)が住民登録をしている。

 町内に設置される常磐道大熊インターチェンジが今月31日に開通。庁舎周辺は復興拠点として整備され、災害公営住宅50戸への住民の入居が6月にも始まるなど、町は帰町に向けた環境整備を進めている。

 大熊再生...『大きな節目』 環境整備には時間

 帰還困難区域を除く町一部地域で4月前半にも避難指示が解除される見通しとなった大熊町。町大川原地区では庁舎の完成が近づき、災害公営住宅の工事も急ピッチで進む。全町避難から8年を経て、町は古里再生に向けた大きな節目を迎えようとしている。

 「ようやくここまできた。復興に向けて第一歩を踏み出した感じだ」。渡辺利綱町長は20日、2011(平成23)年4月に役場機能を移した会津若松市での最後の議会定例会を終え、長い歳月をかみしめるようにして語った。

 4月に開庁する新庁舎はほぼ完成し、週明けにも町に引き渡される。業務再開に向けた庁舎の移転作業は4月下旬から本格化する。職員の引っ越しも始まるが、入居可能な職員宿舎は26戸と限りがあるため、多くの職員はいわき、南相馬、郡山の各市など町外から当分通うことになるという。避難指示が解除される大川原、中屋敷両地区の準備宿泊登録者は21世帯48人(2月28日現在)。大川原地区で自宅を新築し、古里での暮らしを再開した男性(65)は「町内はまだ人がまばら。だが、生まれ育った場所での暮らしは何より安心できる」という。完成する公営住宅に、避難していた友人が戻ることも決まった。「楽しみが増えてくる。避難指示が解除され、人が少しずつ戻れば、にぎわいも出てくるはずだ」と期待する。

 避難指示が解除される地域は、町の面積の約38%に当たる。9割余りの町民が生活した地域は帰還困難区域だ。

 「あと、10歳若ければ、帰れたのだが」。帰還困難区域に自宅がある男性(69)は、帰町しないことを選択した。現在は、会津若松市と娘たちが近くにいる神奈川県を生活拠点にしている。「戻れないというだけでなく、生きる道を探らなければならなかった。その結果が帰らないという決断だった」と語る。

 町の帰還困難区域では、JR大野駅周辺などが特定復興再生拠点区域となり、22年春の避難指示解除を目指し、整備が進められている。

 渡辺町長は「避難指示解除といっても、まだ一部。多くの町民が戻れる環境までには時間もかかる。それぞれの場所で不便を感じない行政サービスに努め、帰れる環境をしっかりつくっていきたい」と話した。