「犯罪死」見逃し防ぐ...いわきに検視官常駐 福島県警態勢強化

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 県警は新年度、医療機関以外で発見された遺体などの死因を調べる検視の態勢を強化する。現在、検視官を配置している福島市と郡山市に加え、いわき中央署常磐分庁舎に検視官室の分室を新設し、警部以下の専従員数人を常駐させる。1人暮らしの高齢者の孤独死などで検視数が増加傾向にある中、現場到着までの時間を短縮して業務の効率化を図り、犯罪を原因とした「犯罪死」の見逃し防止につなげる。

 いわき中央署に新設する検視官分室の管轄は、いわき市と双葉郡8町村。県警が行う検視作業のうち同区域の検視数は約2割とみられ、検視官が浜通りに常駐することで現場に迅速に駆け付け、円滑な検視作業が可能になる。

 県警によると、検視数は近年増加傾向にあり、昨年1年間に検視が行われた遺体は2853体、1日当たり平均7.8体。医療機関以外で亡くなった人が確認された場合、検視官は大半の現場に行き、事件性の有無などを調べ、事件性がある場合は病院など医療機関でも検視作業を行う。高齢化に伴い、自宅での孤独死なども増えており、検視の重要性は増している。

 これまで検視官は県警本部捜査1課(福島市)と郡山署(郡山市)の2カ所に常駐。通報を受けた検視官が現場に派遣され、検視作業を行っていた。

 検視を巡っては、殺人などの事件による「犯罪死」の見逃しなども課題とされる。県警によると、犯罪死の見逃しは1998(平成10)年以降、全国で54件、県内では98年に1件発生。検視で犯罪死と断定できなかったが、後に殺人の疑いで容疑者が逮捕され、犯罪死だったことが判明した。

 このため県警は2015年7月に開所した福島医大の死因究明センターで、遺体専用のCT装置を活用した検視作業も行っている。解剖前に実施するCT装置による画像診断で検視の精度を高め、犯罪死の見逃し防止につなげている。また同センターを管理する法医学専門医による高度な知見を活用した死因特定も行っている。

 しかし、時間や地理上の制約などで同センターを活用できない場合もある。その際、県警は同センター以外でCT装置を備える医療機関に遺体の画像診断を依頼するが、腐敗が著しい遺体の検視作業は医療機関に大きな負担となっている。県医師会の石塚尋朗常任理事は「普通の病院にとっては負担。県内の各地域に検視専用のCTがあった方がよいだろう」と指摘する。