矢祭をラズベリー『聖地』に! 「畑違い」挑戦15年・金沢さん

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試験栽培されたラズベリー

 「日本の気候に合ったラズベリーを作ってほしい」。矢祭園芸(矢祭町)の社長金沢美浩さん(64)の挑戦は約15年前、果物を扱う東京の卸売業者からの要望をきっかけに始まった。国内消費量のほとんどを輸入品が占めるラズベリーを矢祭町の新たな特産品に育てようと、金沢さんたちは4月から、新品種の栽培を始める。

 金沢さんは長男の大樹さん(37)と協力し、品種改良に着手したが当初は思うように実がならなかった。花卉(かき)栽培の経験から「交配を3世代続ければ矢祭町の土壌になじんでくるはずだ」と信じて品種改良を続け、約10年かけて新品種の候補をいくつか完成させた。

 開発までが自分の役割、と考えていた金沢さんだったが、複数の候補から生産する品種を絞り込む過程で、卸売業者から思わぬ提案を受けた。「生産も手掛けてもらえないか」

 金沢さんによると日本は米国などから年千トン以上のラズベリーを輸入している一方、国内生産は年10トン余りにとどまる状況が続く。また、日持ちしないため生食向けは輸入できず、冷凍や加工品の流通がほとんどだという。

 金沢さんは「成功すれば矢祭に貢献できる」と生産にも挑戦することを決断。複数の地権者と交渉して周辺の耕作放棄地計約1.3ヘクタールを借り、約1年かけて整備してラズベリー畑に変えた。「木を切り、土を耕すのは文字通り畑違いの仕事。トラクターに乗ったのは初めてだった」

 昨年、ついに試験栽培にこぎ着けた。4月に苗を植え収穫期が8月から12月まで続くことを確認。将来的には年10トンの生食向けラズベリーの生産を目指す。ラズベリーを町の新たな特産品に育てることが地域活性化につながると信じる。「高齢者の労働力や耕作放棄地を有効活用する方法を示すことで町を元気にしたい」