福島県で半減...消える「給油所」 廃業や撤退、山間地は死活問題

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 後継者不足やガソリンの需要低下などを背景に、県内で給油所の廃業や撤退が相次ぐ。給油所が3カ所以下しかない自治体を指す「SS(給油所)過疎地」は県内で16町村(昨年3月末時点)に上り、東北ではワースト1位だ。有効な対策はみえず"給油所の過疎化"に歯止めがかかっていない。

 「このままでは地方の給油所がなくなってしまう」。県石油商業組合の小林勝専務理事(60)は危機感を募らす。組合に加盟する給油所は1997(平成9)年3月末の1124店をピークに減少を続け、2018年3月末には609店と半減した。5町村が1カ所のみで、本県の山間地が経営者の高齢化で廃業を余儀なくされている現状が浮かぶ。

 ◆◇◇タンク改修費

 潮目は10年の消防法改正だった。地下タンクの安全基準が強化され、改修が義務化された。改修費用は一つのタンク当たり、少なく見積もっても1000万円から2000万円ほどで、個人事業主を中心に経営を圧迫。この年を境に廃業や撤退が一気に進んだ。

 この現状に国は対策を講じた。SS過疎地に指定され、給油所の事業者が中小企業だった場合、改修などの工事費用の3分の2を補助するなどしている。

 ◇◆◇進まない利用

 国などの協力だけでは窮する給油所も多い。町内に給油所が1カ所のみの三島町では、町民の利用が進んでいない。町が16年冬に行ったアンケート調査では、町民の8割が「スタンドの存続を求める」と回答したものの「利用する」と答えたのは2割を下回った。

 町役場の担当者は「町外にマイカー通勤している人は価格の安い町外で給油している」と指摘する。

 ◇◇◆複数サービス

 危機的な状況の中で県石油商業組合が注目しているのは給油所の「ワンストップサービス化」だ。小林専務理事は「スーパーや郵便局などと給油所を一体化するなど、住民が利用しやすいような工夫をしなければならない」と強調する。

 給油所の存続に向け10年に署名活動が行われた昭和村。当時の村民の7割を超える1114人が署名。村が補助金として地下タンクの改修費用を予算化したことで、現在ある唯一の給油所が営業を続けている。

 山間部にある給油所は燃料の配達サービスも行っており、積雪の多い地区では特にお年寄りの利用が多い。昭和村の会社員、女性(45)はそんな高齢者の思いを代弁する。「車で近隣の町村に燃料を買いに行くのは難しい。燃料の使用量が増える冬場、給油所がないのは死活問題だ」