時代超えた『奇才・伊藤若冲』に注目! 福島に巻き起こす春風

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26日の開幕を前に内覧会で作品の魅力を堪能する招待者ら

 福島市の県立美術館で26日に開幕する「東日本大震災復興祈念 伊藤若冲(じゃくちゅう)展」。25日の開会式・内覧会では、作品を鑑賞した出席者から感動の声が相次いだ。国内外から注目されるビッグネームの単独展とあって、関係者は本県の復興や観光振興への波及・相乗効果も期待。時代を超えてよみがえった「奇才」が本県に巻き起こす春風に注目が集まる。

 「若冲が本県復興を後押ししてくれる」と歓迎するのは県観光物産交流協会の高荒昌展理事長。震災から8年が経過した今も風評被害が続く中、「県外から訪れる多くの人に、本県の魅力を感じ取ってもらいたい」と切に願った。

 農業復興を目指すJA福島中央会の庄條徳一最高顧問は「復興は福島の魅力にふれてもらうことが一番。若冲展から県内各地を回遊してもらえるのでは」と期待。東北電力の江波恒夫執行役員・福島支店長も「全国からの集客が見込め、福島の魅力を発信できる好機」と捉える。

 桜の開花を目前に控える本県は今後、本格的な観光シーズンを迎えるだけに、地元の期待は大きい。金水晶酒造店の斎藤美幸社長は「若冲展を入り口に、多くの観光客に『福島の良さ』をアピールしたい」と意気込む。土湯温泉観光協会の加藤貴之会長は「若冲展の波及効果はすでに観光業にも届いている。ぜひ観光振興につなげたい」と語った。

 「若冲展と春の観光を組み合わせれば、大きな相乗効果を生み出すことができる。若冲作品と春色に染まった福島が、全国的に注目されるはず」。若冲ファンを自認する日銀福島支店の中山興支店長は、太鼓判を押した。

 高校生ら「迫力ある」

 招待者の中には高校生ら若い世代の姿もあった。「ニワトリやコイなど、表情が一つ一つ違って迫力があった」。伊藤若冲の作品を生で見たのは初めてという女子生徒(福島東高1年)は、作品の魅力を体感。テープカットに参加した鴇田(ときた)巴(ともえ)さん(福島大付小5年)は「ニワトリの羽など、細かく描かれていてすごい」と若冲の緻密な表現を楽しんだ。

 若冲の伸びやかな筆遣いが楽しめる水墨画を中心とした展示には、専門家も絶賛。東北芸術工科大准教授の画家鴻崎(こうざき)正武さん(福島市出身)は「モノトーンの中に動物のかわいらしさやユーモラスな部分が表現されている。素晴らしかった」。美術史家の安田晴美さんは「サルがカニの上に乗っている『猿蟹図』では、サルがあまりに悪い顔をしていて噴き出してしまった。動物の表情が面白く、親子で楽しめる」と魅力を語った。