大熊「じじい部隊」が見守り活動卒業 古里のため清掃や伐採6年

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住民の帰還を待ちわびる「じじい部隊」のメンバー。今月でその活動を終える

 東京電力福島第1原発事故により町内全域の避難指示が続く大熊町で、住環境の再生に奔走してきた町職員OBらでつくる「じじい部隊」が、その活動を終える。平均年齢66歳のメンバー6人は6年間にわたりほぼ人けのない町内で清掃作業などを続け、住民の帰りを待ちわびてきた。4月10日には一部地域の避難指示が解除され、役場機能が町内に戻る。部隊の解散は31日。現役職員ら将来を担う若い世代にその役目を託す。

 「再び山開きができる日に備えよう」。29日朝、部隊リーダーの鈴木久友さん(66)らメンバー6人は、かつて登山者でにぎわった同町の日隠(ひがくれ)山(601メートル)山頂や林道で枝の伐採作業に汗を流した。今も山開きができるめどは立っていないが町民に愛された山が荒れ果ててしまわないように。

 震災、原発事故当時、総務課長だった鈴木さんが定年退職後の2013(平成25)年4月に部隊を編成。12年の避難区域再編に伴い一時帰宅する住民の対応が必要となる中、「放射線量が高く、若い職員には行かせられない」と名乗りを上げ、町の臨時職員となった。

 自らをじじい部隊と称するのは「無理をせずに年齢に見合った活動をしよう」との考えがあったからだ。それでも、メンバーは町再生への強い使命感を胸に年末年始を除く毎日、避難先のいわき市や郡山市などから町内に通い続けた。住民が戻る日が来るのを信じ、巡回やごみ拾い、桜の木の手入れなど地道に活動を積み重ねてきた。

 住民登録がある1万367人のうち、4月10日に避難指示が解除される大川原地区と隣接する中屋敷地区の準備宿泊登録者は48人(2月28日現在)。帰還の動きは鈍く、大半のメンバーも自宅が帰還困難区域にあるため町に戻ることはかなわない。それでも鈴木さんは「やれるだけのことはやってきた。生活環境の整備や除染が進み、多くの住民が古里に帰れる日が来るのを信じている」と前を向く。新しい町の姿をどう描いていくのか。6人はこれからも次の世代の活躍を見守り続ける。