「100年の悲願」...福島県に農学系学部 福島大・食農学類開設

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ワイン用ブドウの苗木を植える食農学類新入生ら

 「100年の悲願だ」。福島大の調査にそんな声も上がった農学系学部の県内での開設が4月1日、ついに実現する。福島大の食農学類の新入生は110人程度で小規模だが、震災と原発事故で極めて大きなダメージを受けた本県農業の関係者が学生らに寄せる期待は大きい。

 富岡町小浜の畑に若者たちのにぎやかな声が響き渡った。ワイン造りを通した地域活性化や風評被害払拭(ふっしょく)を目指す「とみおかワイン葡萄(ぶどう)栽培クラブ」の小浜ほ場。30日、福島大食農学類に入学予定の新入生有志らがワイン用ブドウの試験栽培に参加し、苗木植えに取り組んだ。

 一足先に食農学類での学びを体験してもらおうと、教員が試験栽培への参加を企画。新入生23人が参加した。入学後は食品科学コースで醸造を学びたいという安積高3年の遠藤宏亮さん(18)は「ワイン造りの工程にはいろいろな立場の方が関わっている。フィールドでの体験から学んだことを研究に生かしたい」と意欲を語った。

 この日は福島明成高の生徒も参加。将来の夢は農家だという同校1年の渡辺遥香さん(16)は「ブドウの植え付けをしてみたいと思っていた。食農学類ができたことで、地元ならではの農業を学べるようになり、うれしい」と笑顔で話した。

 同学類では今後もこのほ場で定期的に実習を行うという。同クラブの遠藤秀文会長(47)は「机上の勉強だけでなく、継続的な実習を行うことでブドウや町の成長を見てもらい、地域づくりや新しい交流の輪が広がってほしい」と語る。

 学生が地域に入り、課題解決に取り組む「農学実践型教育」に対する受け入れ側の期待は大きい。人と野生動物が共存する里山の在り方を研究している望月翔太准教授(34)は「実践型教育では学生が何度も通い、地域を盛り上げることで、学びが地域にとっても大きな財産になる」と指摘した。

 学生の活動だけでなく、地域の課題に向き合う教員らの研究にも注目が集まる。野生動物対策に取り組む望月准教授は「人口減が進む福島は日本の縮図。福島でしっかりした野生動物対策のモデルをつくれば、全国や世界に広げられる事例になる」と意気込む。