「一時帰宅バス」ラストラン...葛尾と三春結ぶ生活再建の『足』

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 東京電力福島第1原発事故による避難者支援を目的に、葛尾村と三春町を結んだ「かつらお一時帰宅バス」は30日、最後の運行となった。バスは「ラストラン」を無事に務め、役割を終えた。案内役として5年間添乗した同村の吉田留子さん(69)と高屋敷ひろ子さん(69)の2人は「やり切った」と充実した表情を浮かべた。

 バスは2014(平成26)年に運行開始。三春町に避難する葛尾村民が、村で生活を再建させるための"足"になった。同町を早朝に出発、村内を巡り、午後には同町に戻ってくるコース。年末年始などを除き、ほぼ毎日運行された。

 運行は郡山中央交通(郡山市)が担当。運転手に土地勘がなかったため、村内を知る吉田さんと高屋敷さんに白羽の矢が立った。2人は1日おきに交互にバスに乗って運転手を道案内し、乗客同士の会話のまとめ役にもなった。

 バスには多いときで15人ほどが乗車。16年に村の大半で避難指示が解除されてからは徐々に減った。本年度で同町にある仮設住宅が全て閉鎖されることから、運行も終える。長年運転手を務めた穂積寿男さん(68)は「事故なく、けがなくできたことが誇り。2人がいたからこそ」と感謝する。

 同日、同町で終了セレモニーが行われた。花束を贈った同社の大竹秀明社長は「(終わるのは)さみしいが、先に進んでいる証し。また、みんなで進んでいきたい」と述べた。