「ふたば未来学園中」8日開校 広野中と高め合い、地元も期待

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「子どもたちの存在が復興の力になる」と期待する鈴木さん

 福島県広野町に8日開校する「ふたば未来学園中」は、双葉郡の念願だった併設型の県立中高一貫校として幕を開ける。東日本大震災と原発事故で甚大な被害を受けた地域に希望をともし、復興の象徴となる。郡内の町村立中学校との共存や、施設整備の遅れなどの課題も残る中、地元住民の期待は膨らんでいる。

 2校の距離1キロ

 ふたば未来学園中は町立の広野中から西に約1キロの高台に開校する。「県立と町立の2校の生徒が切磋琢磨(せっさたくま)する環境が生まれる」。ふたば未来学園高を支援する会長の鈴木正範さん(73)=広野町=は両中の共存が生徒の学力や競技力の向上につながると期待する。

 現在、町内にある中学校は広野中だけで、生徒のほぼ全てが広野小の卒業生。過去に広野中PTA会長を務めた鈴木さんは「小、中学校の9年間を共に過ごすことで強い絆が育まれる」と小、中学校各1校の利点を挙げる。一方で、顔ぶれが変わらない学校生活を送る中で競争心が薄れてしまうことを心配し「これからは学習やスポーツで積極的に交流を深めてほしい」と願った。

 ふたば未来学園の校舎内には、住民が自由に出入りできる地域協働スペースも設置された。生徒と住民が地域の課題を共有し、共に将来の復興や町づくりに取り組む場となる。

 広野町では住民登録がある4735人の9割近くに当たる4117人(3月末現在)が町に戻ったが、うち3割以上が65歳以上の高齢者。町観光協会長として観光再生にも取り組む鈴木さんは「子どもたちの柔軟なアイデアが復興を後押しする。郷土に詳しい高齢者の知識を吸収しながら被災地の将来像を描いてほしい」と力を込めた。

 ◆復興を担う人材育成

 原発事故に伴う避難指示の解除を経て、地元での授業を再開した双葉郡の町村立中学校は生徒数の減少が顕著化しており、ふたば未来学園との連携強化も求められる。

 ふたば未来学園は地域を学習のフィールドに再生可能エネルギーによるまちづくりや少子高齢化への対策など、本県が抱える課題について考える「未来創造学」のカリキュラムが特色の一つ。教育環境や教員陣が充実し、各界の第一人者らでつくる「ふたばの教育復興応援団」による多彩な授業なども展開する。

 入学者選抜では、郡内の小学生や震災時に郡内の町村に住民登録していた児童を受け入れる「地域枠」を設けたが、募集定員を一般選抜全体の2割程度にとどめた。このうち広野町からは4人が合格した。

 一方、町立の広野中には1年生27人が入学し、町教委はふたば未来学園と同水準程度の教育環境を整えようと、パソコンやタブレット端末、電子黒板などの情報通信技術(ICT)に触れられる設備を町費で導入。両校が連携した授業の実施も見据えている。

 ふたば未来学園は既存校への影響を考慮して連携型で運営する計画もあったが、郡内町村などの要望で併設型として新設された経緯がある。県教委は「既存校と互いに刺激し合いながら学びを深められる。共存の中で復興を担う人材を育成したい」(県立高校改革室)としている。