新庁舎開庁「ただいま帰りました」 大熊町役場、町再生へ前進

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開放的な空間が広がるエントランスホール

 東京電力福島第1原発事故に伴う町内全域の避難指示が一部解除された大熊町は14日、同町大川原地区に整備した役場新庁舎の開庁式を行った。渡辺利綱町長は式典で「ただいま帰りました。ふるさと大熊町の空に、風に、大地にようやくこの言葉を言える日が来た」と宣言。「新庁舎は町再生の最前線基地で、復興を必ず実現するという私たちの誓いの象徴だ」と述べた。

 式典には安倍晋三首相が出席し「多くの人が心待ちにしていた本格的な復興への第一歩を踏み出すことができ、長年にわたる皆さんの尽力に心から敬意を表する」と祝辞を述べ、引き続き生活インフラの復興となりわいの再生に取り組む姿勢を示した。関係者がテープカットとくす玉割りを行い、開庁を祝った。

 総工費は27億4100万円。1万7900平方メートルの敷地に庁舎棟と防災棟などを建設した。庁舎棟は省エネルギーや震災時の安全性に配慮し、1階には待合や休憩、イベントなどに利用できる多目的スペース「おおくまホール」を設けた。町は会津若松、いわき両市などに分散している役場と議会の機能を新庁舎に集約し、100人前後の体制で5月7日から本格的に業務を始める。

 新庁舎、交流の核に期待

 大熊町大川原地区に14日に開庁した町役場新庁舎。開庁式に集まった関係者や町民は町再生の前線拠点の完成を祝い、新庁舎を核とした地域の交流促進に期待を寄せた。

 式典終了後に開かれた新庁舎の内覧会では、関係者や町民らが完成したばかりの庁舎を見学。多目的スペース「おおくまホール」には町民の写真が展示され、参加者は知り合いの写真を見つけて歓声を上げるなどしていた。

 見学に訪れた同町大川原の主婦(54)は「開放感があって、木のぬくもりを感じられる良い施設だと思う。新庁舎が、いろいろな人が戻るきっかけになってほしい」と期待を寄せた。

 新庁舎前の広場では、町内の地域づくりを進める「おおくまコミュニティづくり実行委員会」がイベントを開催。青や赤の風船を持った参加者が「ただいま おおくままち」の人文字をつくって小型無人機(ドローン)で撮影したほか、町の無形文化財「熊川稚児鹿舞」が披露された。また、会場には時折風船の割れる音も響き、驚く来場者の姿も見られた。