直接現場へ...震災被害の福島県民を励ます 天皇陛下・30日退位

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がれきの残る住宅街に向かって黙礼される天皇、皇后両陛下=2011年5月11日、相馬市

 天皇、皇后両陛下は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の後、6度にわたって本県を訪問し、大きな被害に遭った県民を励まされた。

 震災後、初めての訪問は震災からちょうど2カ月後の2011(平成23)年5月11日。津波で壊滅的な被害を受けた相馬市原釜・尾浜地区に足を運び、雨の中、傘を畳み、がれきが残る住宅街に向かって黙礼した。また、多くの被災者が避難生活を送った福島市のあづま総合体育館なども訪問、避難者をねぎらった。

 両陛下は12年10月、13年7月と震災後3年間は毎年、本県を訪問。12年には同年1月に「帰村宣言」を行った川内村を訪れ、真っ先に除染現場を視察した後、帰還した村民に励ましの言葉を掛けた。13年は川俣町で授業を行う飯舘村の草野・飯樋・臼石小の合同仮設校舎や、同村の居住制限区域で操業を続ける菊池製作所福島工場で、復興に向けて懸命に取り組む県民を後押しした。

 4度目の訪問は15年7月。桑折町のモモ農家や福島市の復興公営住宅を訪問した。13年に予定されながらも、かなわなかったモモ畑の視察では「おいしそうなモモですね」と思いやりに満ちた言葉を掛けられた。

 16年3月には、震災から丸5年が経過した本県の復興状況視察のため、三春町の葛尾村三春出張所を訪問した。両陛下と懇談後、同村で食堂を再開させた石井一夫さんの「前に踏み出す元気までいただきました」というメッセージは、今年2月に行われた在位30年記念式典で、内堀雅雄知事が読み上げた国民代表の辞に盛り込まれた。

 最後の訪問は、南相馬市で行われた第69回全国植樹祭などに出席された昨年6月。復興の発信などを目的に震災被災地では初めて開かれ、約8000人が海岸防災林の基本樹種クロマツなどの苗木を植樹。両陛下から、次世代を担う緑の少年団の児童に森林づくりの思いが託された。

 「長きにわたり、国民に寄り添っていただいたことは忘れられない」と双葉地方町村会長の伊沢史朗双葉町長。両陛下は震災後、埼玉県加須市に避難していた同町も慰問しており、伊沢町長は「前が見えない厳しい状況の中、光が見えた思いだった」と振り返った。