「あんぽ柿」震災後初輸出へ 今冬にもタイ、販路拡大の足掛かり

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 県とJAグループは今冬にも、東京電力福島第1原発事故後初めて県北地方の特産品・あんぽ柿を輸出する。最初の輸出先にタイを想定しており、当局と調整を進めている。具体的な輸出時期や数量は今後決定する。県は県産農産物の輸出が好調なタイを足掛かりに、海外で一層の販路拡大を目指す。

 県によると、タイは生産者の設備や品質管理の充実度を考慮して加工品などの輸入許可を出すという。このため県は、食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」を取得するなど品質管理が徹底している伊達市の生産施設「あんぽ工房みらい」を輸出元に想定している。県産農産物の販売仲介を多く手掛けているアライドコーポレーション(横浜市)が空輸を担う。あんぽ柿の出荷時期は例年、12月から翌年3月ごろで、1月が最盛期という。

 タイ政府は2015年、本県を含む日本産の農林水産物・食品に課していた輸入規制を原則撤廃した。タイは果物の消費量が日本の倍と多い上、訪日客の増加で日本産品の人気が高まっていることも追い風となり、県産のモモ、ナシ、リンゴなどが人気を博している。昨年度、県産農産物の輸出総量は約218トンだったが、このうち約18%に当たる約40トンをタイが占めた。

 県はタイの首都バンコクであんぽ柿の試食販売会や、現地の販売事業者と連携したプロモーション活動の展開を検討している。

 出荷量は原発事故前の75%

 あんぽ柿は通常の干し柿よりも含んでいる水分量が多く、とろけるような口当たりが特徴。冬の風物詩として親しまれてきた本県の特産品だ。ただ、乾燥で水分が抜けるために放射性セシウムが濃縮し、食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えやすいことから、県は原発事故後、主力産地の伊達市周辺などに加工の自粛を要請した。県内の産地は会津や県南などの一部に限られ、出荷量は激減した。

 国や県、関係市町、JAなどでつくる「あんぽ柿復興協議会」は2013年度、柿の放射性セシウム濃度が低いモデル地区を選び、あんぽ柿の全量検査を取り入れて加工、出荷を再開した。モデル地区の段階的な拡大に伴い生産量は年々増え、全農県本部を通じたあんぽ柿の出荷量は昨年度、事故前の約75%に当たる930トンまで回復した。