市街地にクマが!どう駆除「銃使用...難しい判断」 福島で目撃

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 県庁から約900メートル南に位置する福島市の弁天山公園で今月、野生のクマが目撃され、市の鳥獣被害対策実施隊員の猟銃で駆除された。住宅地近くでの銃による駆除は異例で、住民に衝撃が広がった。鳥獣駆除の関係者からは「市街地での銃使用は判断が難しい」との声が漏れる。住民の安全を確保した上で、人に危害を加えかねないクマを捕獲・駆除しなければならない現場の課題を探った。

 「バーン」。4日午後4時30分ごろ、弁天山公園周辺に1発の銃声が響いた。標高142メートルの弁天山周辺には住宅が密集し、発砲現場は住宅地からわずか200メートル。約500メートル離れた場所には中学校もあった。近隣住民は「クマの被害がなくて良かったが、市街地で発砲音は怖い」と複雑な心境を漏らした。

 ◆◇◇警察官の許可

 クマの目撃情報を受け、市は現場が市街地から近いことから、人に被害が及ぶ危険性のある「緊急事態」と判断した。また、クマの駆除方法は警察官の同行の有無で分かれる。「人への危害の恐れがあったため、猟銃の使用許可を現場の警察に依頼した」と市担当者。近くに住宅が立ち並ぶ現地は猟銃による駆除が禁止されている場所だったが、警察官職務執行法に基づき、現場にいた警察官の判断で緊急的な措置として猟銃が使用された。

 県警は「今回の猟銃の使用許可に問題はない」との見解を示すが、警察官が同行していなければ、猟銃を使用できなかった可能性がある。駆除の関係者は「市街地のクマ出没は珍しく、今後も市街地で猟銃を使えるかどうか分からない」と現場の苦悩を打ち明ける。

 ◇◆◇使えない麻酔銃

 クマの駆除方法には麻酔銃で眠らせて捕獲し、山に帰すという方法もあるが、猟銃などによる駆除が最も多いのが実態だ。

 背景には麻酔銃を扱うことができる獣医師が少ない現状がある。県による厳格な審査と特別な許可が必要なためで、県内でクマの捕獲のため麻酔銃を扱える獣医師らは4人。県が出動を依頼した場合でも到着に時間がかかったり、出動できないケースもある。県によると、2018(平成30)年度に駆除された253頭のうち、捕獲して山に帰したのはわずか3頭だ。

 ◇◇◆人里の目撃増

 県警によると、今年のクマの目撃件数(17日現在)は昨年同期比25件増の69件。冬眠明けのクマが餌を探し、人里近くへの出没が増えているとみられる。猟銃で駆除された直後の9日にも弁天山公園周辺ではクマの目撃情報があり、市が同公園の立ち入りを制限し、わなを仕掛ける対応を取った。

 県は「捕獲駆除の方法は現場の各市町村に判断を委ねている」と説明する。16日には会津若松市湊町の人家の中から出てくるクマも目撃された。

 猟銃使用が避けられない現場で、いかに安全を確保して駆除を進めていくか、現場では難しい対応が続く。