「旅すること...諦めないで」 伊達の団体、障害者旅行支え20年

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旅行は車いすが乗り降りできるリフト付きバスで巡る

 障害者の旅行参加を推進するボランティア団体「障がい者の旅行を考える会」(伊達市)は6月、設立20周年を迎える。旅行は国内外で計73回実施し、延べ1320人が参加した。自身も重度障害がある代表の佐藤孝浩さん(55)は「旅行を諦めてほしくない。誰もが行きたい所へ行ける時代だから」と話す。

 「みんなで協力して旅行を成し遂げましょう」。旅行の冒頭、佐藤さんは決まって参加者に呼び掛ける。旅行には障害者や、通常の団体旅行には体力的に参加が難しい高齢者らが集まる。その家族らに加え、看護師やヘルパーの資格を持つ介助ボランティアが同行。互いに協力し、アットホームな雰囲気で各地を巡る。

 参加に障害の度合いは関係ない。佐藤さんが旅行の原案をつくり、旅行会社が企画、実施する。旅先での安全を配慮することに苦労も多いが、参加者からの「また連れていってください」という声をモチベーションに20年間、活動を続けてきた。

 佐藤さんは東京の建設会社に勤めていた24歳の時、労災事故で首の骨を折って肩から下の全身にまひが残り、車いすで生活するようになった。

 けがをする以前から旅行が好きだった佐藤さん。「二度と海外旅行はできない」と思っていたが、家族や親族の協力で事故から6年後にグアムへ。海外にも行けるという自信をつけ、その後も海外へ旅行するようになった一方、「旅行に行きたくても行けない人がいるのでは」と思いを募らせ、1999(平成11)年、会を設立した。

 会の旅行には毎回2人程度同行する介助ボランティアの存在が欠かせない。准看護師の資格を持つ郡山市の巻坂豊子さん(67)はボランティアを募集する新聞記事を見て昨年から参加するようになった。「体力は使うが、充実感がある」と今後もボランティアを継続していくつもりだ。設立当初、世間では「バリアフリー」という言葉すら認知されておらず、旅行先で参加者が不便さを感じることがあった。今では各地で車いす用のスロープが設置されるなど「ハード面」が整ってきた。

 佐藤さんは「ソフト面」でも変化を感じている。会の京都への旅行で、車いす数台が段差に困っていた時、修学旅行中の高校生たちが手伝ってくれた。「どこに行っても『手伝いましょうか』と声を掛けてくれる人が増えているんです」。佐藤さんはうれしそうに話す。

 20周年に佐藤さんは「皆さんが満足できる旅行を続けたい」と話す。会は今秋、国内、海外で旅行を実施する計画。