「排ガス水素」発電燃料化へ 産総研など、19年秋にも実証事業

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 産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所と日立製作所、デンヨー興産は今秋にも、県内で再生エネから製造した水素や、工場の排出ガスから取り出した水素を発電燃料として活用する「水素混焼発電システム」の実証事業を始める。成功すれば、水素エネルギーの一大生産地を目指す県産水素の供給拡大や、工場の操業過程で発生する水素の活用モデルとして国内外への波及が期待される。

 実証事業は、保土谷化学工業郡山工場(郡山市)内に、水素とバイオ燃料を混焼するタイプのディーゼル発電機を設置して行い、500キロワット規模の電気と熱を供給するシステムの商用化を目指す。

 同研究所などによると、燃料のうち90%を同研究所で製造した水素や、工場内で発生した水素を使用することで、石油系燃料の使用を減らすことができる。

 発電機は、デンヨー興産が開発を担当。燃料電池車などでは純度の高い水素が必要だが、この発電機は不純物を含む水素も燃料として燃やせるのが特徴。このため、製鉄所や化学工場などでの排出ガスから生じる水素も活用できる。実証では純度の高い水素を活用するが、商用化が実現すれば、工場などから排出される二酸化炭素(CO2)の削減に寄与できる可能性が高い。

 同研究所の辻村拓水素キャリアチーム長(42)は「ものづくり企業でCO2排出を減らす機運が高まっていて、水素の使い道が広がるのではないか」と波及効果を期待する。

 一方で、再生エネは気象条件などで発電量が変動するため、電力の安定供給の面で課題がある。水素を主にした発電技術が確立されれば、天候に左右されない安定電源となり、新たなビジネスモデルにもなり得る。

 同研究所は、水素を貯蔵・運搬する技術開発にも取り組んでいて、県内で製造した水素を国内外の工場などに流通させる需要の喚起につがなることも見込む。

 ただ、同システムの導入には採算性などの点で課題もある。政府はCO2を排出しない「脱炭素社会」の実現に向けて戦略の策定を進めており今後、企業への支援などの制度構築に向けた動きが注視される。