廃炉の進め方不透明...見えぬ検討状況 第2原発方針表明から1年

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 東京電力が福島第2原発の廃炉方針を示してから14日で丸1年が経過した。県内原発の全基廃炉に道筋が付いた一方、東電社内で廃炉の正式決定には至っていない。東電は廃炉による経営への影響や第1原発の廃炉作業との両立などについて検討を進めているが、検討状況は公開されず、立地自治体などからは早急な決断を求める声が上がる。

 ◆◇◇財務への影響

 14日、東京・内幸町の東電本社。「廃炉の工程表を示すよう求めたが、この1年、どのような形で検討されたのか」。吉田栄光県議会議長と向き合った小早川智明社長は、険しい表情で問い掛けに聞き入った。冒頭を除いて非公開だった会談後、吉田議長は、小早川社長が「しっかりと検討している」と答えるにとどめたことを明らかにした。

 東電は昨年7月に社長直轄のプロジェクトチームを設け、廃炉決定に向けた課題を整理している。財務関係では、廃炉を決めた場合、財務上は価値がなくなり、大きな負債を抱えることになるため、財務全般への影響などを見定めている。

 東電は廃炉費用を2822億円と見込む。国内の各原発に適用される制度に基づき、2018(平成30)年度末時点で2126億円を積み立てたが、696億円不足する。廃炉決定には3、4号機の開発に参加している東北電力との調整も必要で、東北電は「(東電の)プロジェクトチームから検討状況について説明を受けている。説明を踏まえて今後、検討していきたい」としている。

 ◇◆◇核燃料の処理

 廃炉の進め方には不透明な部分も多い。各号機の使用済み核燃料プールには、格納容器から取り出された計1万76体の燃料(未使用含む)がある。

 使用済み核燃料は国策で再処理を前提とするが、中核を担う日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は稼働しておらず、第2原発からの搬出は難しい。仮に第2原発敷地内で保管する場合、安全性の高い、空気を自然循環させて燃料を冷やす「乾式キャスク」での保管も考えられるが、東電は具体的な方針を示していない。解体で発生する相当量の廃棄物の保管場所や、第1原発の廃炉作業も含めた数千人規模の人材の確保などには国や地元自治体、関係機関の理解が必要だ。

 ◇◇◆立地町の悩み

 内堀雅雄知事は昨年6月以降、国や東電に廃炉決定を求めているが、結論がなかなか示されない状況に、立地する楢葉、富岡両町の担当者も「検討状況すら分からず、不安に思う住民もいる。早急に工程を提示してほしい」と指摘する。

 廃炉に伴う両町の財政運営を巡る悩みも切実だ。両町には原発立地に関する交付金と固定資産税が年間計約20億円ずつ入るが、廃炉になれば打ち切られる見通しだ。楢葉町の担当者は「町の当初予算の約2割を占める大きな財源。引き続き交付金に代わる措置を国に求めていく」としている。

 電力会社の経営を研究してきた橘川武郎東京理科大大学院教授(日本経営史、エネルギー産業論)は「電力会社が廃炉検討を表明し、その判断が逆戻りしたケースはない」と語る。橘川教授は、廃炉決定には完了時期を含めた工程表が必要だとした上で「どれだけの資金を投入し、人員の配置転換を要するかを東電が見通せず、具体的な計画を作れないのではないか」と分析した。

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