「復興の思い伝えて」 参院選・公示後初の週末、遊説中通りへ

 

 参院選は25日、公示後初めての週末を迎えた。1議席を争う福島選挙区の3候補は大票田の中通りを中心に選挙カーを走らせた。一方、街頭には初めて選挙権を得た10代の若者の姿は少なく、3候補の遊説のなかった浜通りや会津は選挙戦としては静かな一日となった。

 3候補のうち2陣営は福島、伊達両市など県北地方を遊説した。「福島復興に努める」「よろしくお願いします」。選挙カーから声が響き、候補者の訴えは一時「交錯」した格好になった。時折、通りに出て手を振る有権者の姿が見られた。桑折町の農業男性(63)は「まだ『始まったばかり』というのが正直なところ」としながらも「地方の時代確立のため大いに意見を交わしてほしい」と、さらに熱い舌戦を期待した。

 別のもう1陣営は大票田の郡山市に入った。市内全域を精力的に巡り、「政治の責任で本県の風評被害を払拭(ふっしょく)する」と訴え、支持を呼び掛けた。

 今なお、多くの人たちが避難生活を送る浜通りの有権者はさまざまな思いで参院選初の週末を迎えた。

 いわき市好間町応急仮設住宅の自治会長(48)は「なんだか選挙が遠く感じる」と選挙カーが自分の住む仮設住宅付近を通らない、静かな週末に冷めた感想。それでも候補者には期待することもある。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から5年3カ月が経過し、避難者の生活が多様化していることに触れながら「避難者の声をくみ取り、古里再生への情熱を燃やしてくれる候補者に1票を投じたい」と話す。

 南相馬市の有権者(71)は「浜通りが復興してこそ福島が復興し、福島が復興してこそ日本が真に復興する。街頭演説で構わないので、その思いを訴えてほしい」と求める。

 街頭演説、10代の姿なく

 伊達市保原町の陣屋通りでは夕方、候補者応援のため党幹部が訪れた。小雨の中、有権者は傘も差さずに話に熱心に聞き入っていたが、10代の若者の姿は見られなかった。

 「現状を良くしてほしい」と街頭演説に足を運んだ同市のアルバイト女性(25)は「(街頭演説を)知らない若者が多いのではないか。若者への周知と耳を傾かせる工夫が必要」と指摘した。