働く未成年、有権者の自覚 私の生活変える1票...思い託す

 
選挙公報に目を通す宗形さん(左)と藤田さん

 選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられた参院選は10日、投票日を迎えた。若者の参加を促そうと、高校や大学を中心に模擬選挙や講演会などの主権者教育が盛んに行われてきた。一方で、既に社会に出た18、19歳は「学ぶ時間が欲しかった」との思いを持ちながら、選挙は生活に結び付くと考え「投票に行こうと思う」と有権者の自覚を口にした。

 「分からないことが多過ぎる」。白河市の会社員鈴木亮太さん(18)は困った表情を見せた。高校では選挙に関する授業はなく、どうやって投票するのか、選挙の流れをよく知らなかった。

 社会人となり、自分で必死に稼いだ給料で買い物をする機会が増えた。すると、消費税の高さが気になるようになった。会社の上司との会話などで選挙権について知り「大きな権利を得た」と実感。今までは無視していた選挙カーのアナウンスにも興味を持つようになった。鈴木さんは「若者の将来を考えて政治を行ってくれる候補者に投票したい」と今回の投票に思いを託す。

 今春に高校を卒業し、須賀川市で働く団体職員藤田優さん(19)はインターネットで選挙について調べた。農家と向き合う仕事をしている。「農家の利益につながるように」と投票先を考える。

 高校では選挙の基本的なことを2~3時間学んだだけだった。「有権者となることに不安があった」。藤田さんと、同僚の宗形芽依さん(18)は口をそろえ「(主権者教育を受けている)今の高校生は、不安な面が解消されているのではないか」と推測する。

 県選管は、若者の目に留まりやすいテレビやラジオCM、インターネット広告などを活用して「18歳選挙権」を周知している。ただ、どれほど浸透しているのか、その効果を測ることは難しい。田村市の会社員尾沢智奈津さん(19)は「模擬選挙など、一度でもいいからあらかじめ選挙について実践的に学ぶ機会が欲しかった」と感じている。

 同年代が選挙についていろいろと学んでいることを知り、自分も投票に行こうと思い立った人もいる。郡山市の会社員新田朱音(あかね)さん(19)は「大学などで同年代が選挙を学んでいると聞き、投票日が近くなって焦りを感じ始めた」。選挙権年齢の引き下げは、より若い世代が政治に意見できるようになったことと捉えている。「幼い頃、母親が投票する姿を見て、大人が選挙に行くことは当たり前と思っていたが、今は自分も有権者。改めて勉強したり、家族と相談して投票を考えたい」