増子さん議席死守「復興再生が天命」 「自民1強」にくさび

 
宝船を受け取り笑顔を見せる増子さん。左は妻恵子さん=10日午後11時ごろ、福島市御山の選挙事務所

 「復興と平和のために県民と共に歩みたい」。10日に投開票が行われた参院選福島選挙区で野党共闘の統一候補として臨み、1議席を巡る激戦を制した民進党現職で元経済産業副大臣の増子輝彦さん(68)は、歓喜の渦の中で力強く誓った。自民党現職で法相の岩城光英さん(66)は、無念の次点。改選数の削減により、現職2候補の明暗が分かれた。新人で幸福実現党役員の矢内筆勝さん(54)は力及ばなかった。

 安全保障関連法の廃止や県内原発の全基廃炉などを共通政策に掲げ、共産、社民両党との野党共闘で激戦を戦い抜いた増子輝彦さんが、安倍晋三首相をはじめとする閣僚らが連日のように県内に入る「安倍政権」の猛攻をはねのけ、自民1強の政権運営にくさびを打ち込んだ。

 福島市御山の選挙事務所に「当選確実」の一報が届くと、集まった選対本部の関係者や支持者の喜びは爆発。増子さんが事務所に現れると、歓声はさらに大きくなった。

 歓喜の輪の中には、厳しい時代を支えてくれた支援者や政権交代を目指す党県連の同士、そして野党共闘実現の橋渡し役となった市民団体の関係者らの姿があった。党派を超えた大勢の支援者を前に増子さんは「皆さまからの多くの支援のおかげで、安倍政権と命懸けで戦うことができた」と感謝の気持ちを伝えた。

 震災と原発事故の発生から11日で5年4カ月。この間、誰よりも被災地を歩き、被災者に寄り添ってきたと自負する増子さんは「福島の復興再生が私の天命。オールジャパンで復興を進めていく」と力強く誓った。

 郡山の事務所、歓喜の輪

 増子輝彦さんの地元・郡山市の選挙事務所は、テレビ各局が「当確」を伝えると歓喜の輪に包まれた。支持者同士が涙を流しながら抱き合う姿も見られ、激戦を物語っていた。

 自民党の現職閣僚らとの激しい戦いだったが、選対関係者は「地元の参院議員をなくしてはいけない」と懸命に訴えた。選対本部の小針一晃事務局長は「郡山市、本県の復興のために頑張ってほしい」と話した。