【福島県政界展望】「共闘」の動向焦点 大臣の落選、自公に痛手

 

 10日に投開票が行われた参院選福島選挙区で、民進党と共産、社民両党による「野党共闘」が勝利したことは、現職閣僚の敗北阻止のため総力戦を展開した自民、公明両党にとって大きな痛手だ。安倍政権を支える閣僚の落選で、今後の本県復興に及ぼす影響を危惧する声が早くも上がっている。一方、3月に結党した民進党は最初の国政選挙を制した形だが、今後の県政界は次期衆院選で「自公与党」対「野党共闘」の構図が県内5小選挙区にそのまま持ち込まれるかが焦点となりそうだ。

 公示前までの各種世論調査などで野党統一候補の優勢が伝えられたことで、自民党県連は安倍政権や党本部の手厚い支援を受け、徹底した組織戦を展開。東北6県の与党候補者で唯一、JAグループの政治団体から推薦を受けた。しかし結果は実らず、全国的に与党勢力が議席を増やした中、与党の貴重な1議席を失ったダメージは計り知れない。今回の激戦を引きずり、県政界でも野党との対決姿勢が強まる可能性はある。

 民進党は勝利したが、優勢だった状況から接戦に持ち込まれた。民主党時代の6年前に2人を擁立した福島選挙区で獲得した約50万票の得票には、野党が共闘しても届かなかった。政権交代以降の退潮傾向に大きな変化はなく、野党共闘の評価や福島5区の候補者擁立も含め、次期衆院選に残された課題は山積みだ。

 共産、社民両党にとっては野党共闘を実現させ、勝利した意義は大きい。特に共産は次期衆院選での共闘にも県委員会は前向きな姿勢で、今後の動向に注目が集まる。