新県議に11人、「復興」以外の争点なし いわき市、相馬市・新地町

 

 15日投開票が行われた第18回県議選。浜通りでは無投票の南相馬市・飯舘村、双葉郡両選挙区を除く、いわき市、相馬市・新地町両選挙区で投開票が行われ、新県議11人が誕生した。「復興」以外の明確な争点がない中で、各陣営が激戦を展開した選挙戦を選挙区ごとに振り返る。

 自民5議席死守ならず 民主挙党態勢1増、共産は2議席維持

 【いわき市選挙区】定数10に対し、過去最多の16人が立候補した最激戦区は、多くの陣営が選挙戦最終盤まで「票読み」に苦心する大混戦となった。

 現職の多くが後援組織を中心に手堅く票をまとめた一方、新人、元職は現職陣営の地盤浸透に苦慮、伸び悩んだ。

 自民は5議席死守を目指したが、保守系無所属候補との競合などが影響し、現職2人が落選した。現職矢吹貢一氏は北部を中心に固い地盤に支えられ、前回に続く2位。現職青木稔氏は企業支援などを受け、安定した選挙戦を展開した。現職鈴木智氏は地元の小名浜地区以外にも浸透し、前回よりも得票を伸ばした。

 民主は、党幹部が相次いで応援に入るなど挙党態勢で臨み、1増となった。現職古市三久氏は連合の支援に加え、地盤の草野、神谷地区で票を集めた。新人鳥居作弥氏は前衆院議員の支援に加え、活発な遊説活動で浸透した。

 共産は組織票をすみ分けし、2議席を維持した。新人吉田英策氏は告示直前の出馬だったが、平や内郷などで票をまとめた。現職宮川絵美子は南部の党組織票と無党派層を取り込み、3選を飾った。

 公明の現職安部泰男氏は前回より票を落としたが、組織票をまとめ、トップ当選。

 無所属は苦戦を強いられる中、ベテランと新人が既成政党の壁を破った。

 現職西丸武進氏は地元・常磐などの票に加え、労組票にも食い込み、6選。

 新人坂本竜太郎氏は遊説に奔走、若年層を中心に支持を広げ、初陣を飾った。

 現職議長"貫禄の5選" 新人、浸透しきれず

 【相馬市・新地町】新地町を選挙区に加えて行われた初の選挙戦。現職の斎藤勝利氏が着実に集票して5選を果たした。

 斎藤氏は県議4期に加えて現職議長の実績を強調。「地元の復旧・復興の総仕上げ」に向けて県政の継続を訴えた。2月の立候補表明から両市町の後援会を中心に組織をまとめ上げ、地盤の相馬市では3389票差をつけて貫禄を示した。

 新人の新妻香織氏は東京電力福島第1原発事故に伴う甲状腺がんの検査体制拡充、地元の観光振興などを主要政策に草の根の運動を展開。選挙戦となった相馬、新地の両議員選を追い風に浮動票の獲得を狙ったが、浸透しきれなかった。