生かして"私の1票" 福島県内・高校生が活発な議論

 
総務省のワークショップで議論する参加者たち

 選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に変更する改正公選法の成立を受けて、今夏の参院選で70年ぶりに選挙権年齢が引き下げられ、県内では約3万8700人が有権者に加わる見通しだ。新たに「1票」を得る若者たちが期待と不安を抱える中、県内でも高校生への模擬選挙などさまざまな取り組みが進められている。一方、若者の投票率低下は深刻で、18、19歳の声を確実に政治に反映させるためには、実践的な主権者教育が求められる。

 「教育に主軸を置いた政策も良いけど、喫緊の課題は福祉の充実だと思う」。総務省が昨年12月下旬に福島市で開いたワークショップには、模擬選挙を体験した県内の高校生らが投票理由について活発に議論する姿があった。今夏の参院選で選挙権を得る高校生は、自分が手にする1票の意義を真剣に考えながら、初めての選挙に臨む。

 ワークショップは同省が全国で初めて本県で開催。県内の高校生や大学生、若手社会人らが模擬選挙に臨んだほか、地域課題の解決策について意見を交わした。参院選で選挙権を得る福島高2年の菅野愛希さん(17)は「魅力があるのにアピール力が足りない」と本県の課題を提示。解決策を話し合い「政治は選挙だけでなく、身近にあると分かった」と振り返った。

 県内の若者の投票率低下は深刻で、昨年11月の県議選では20代の投票率が23.11%と年代別で最低を記録した。若者の主権者意識を育てるため、県選管と県教委は2012(平成24)年度から、県内の高校で福島大生を候補者に見立てた模擬選挙「未来の知事選」を展開。参加者の中には参院選で選挙権を得る生徒もいて、実際の選挙を見据え緊張した表情で投票している。

 「未来の知事選」は公選法改正後も2校で実施。福島北高2年の武田実佳さん(17)は「私の1票で悪い方向に進んでしまったらと思うと怖い。選挙の仕組みもよく分からない」と不安な心情を吐露する。一方、只見高3年の新国優さん(18)は「(知事候補役の)政見放送を聞いてから投票までの一連の流れを体験でき、政治への関心が高まった」と話す。新たな有権者の胸には、不安と期待が交錯している。