【18歳選挙権・主権者教育の今】中立の「境界線」模索 新聞に活路見いだす

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「複数の新聞を活用することが政治的中立の確保につながるのでは」。今野教諭は新聞に活路を見いだす

 「いろいろな意見を提示するしか、手はないのではないか」。郡山市の安積黎明高の社会科準備室で開かれる通称「科会」。社会科教諭7人が集まる会合では、選挙権年齢の引き下げが決まって以降、「主権者教育」が話題に上ることが増えた。中でも、公正中立な立場が求められる教員に突き付けられた「政治的中立」という問題は、参加する教職員を悩ませる。

 「中立性を強調するあまり、『触れないことが一番』になってしまう恐れがある」。議論を束ねる社会科主任の今野充宏教諭(50)はそう危惧する。主権者教育に関する国の指導資料は、教員が特定の見解を自分の考えとして述べることについて「避けることが必要」とし、自民党の政調会が昨夏まとめた提言には中立から逸脱した教員への罰則規定も盛り込まれた。

 今野教諭らは、通常業務の合間を縫って東京や仙台など全国各地の研修会にも足を運ぶ。国は「議論を深めるため」ならば、生徒の意見が一つの説に偏った場合は「教員が他の見解を提示することも可能」とも説明、教員に指導の「バランス力」を求める。今野教諭は「とにかく今は、情報を集めることが大事」と県内外の先進校の事例も集めながら科会で他の教員と情報を共有、指導の"境界線"を模索する議論を続ける。

 これまでの学校教育について、福島大の中川伸二教授(54)=現代政治論=は「政治的中立に神経質になりすぎ、政治を『これからの生活に必要な知識』として教えてこなかった」と指摘。主権者教育の本格実施を目前に控え、今野教諭は新聞に活路を見いだす。「1紙ではなく、(主張が違う)複数の新聞を活用すること以外、政治的中立を確保できないのでは。生徒たちの知識を育成しなければ、『権利を主張するだけ』になりかねない」