田村市長選初当選の本田仁一氏に聞く 産業創出、雇用確保へ

 
「市民が活躍できる環境を整えたい」と話す本田氏

 9日に投開票が行われた田村市長選で初当選した無所属新人で前県議の本田仁一氏(54)は福島民友新聞社の取材に応じ、産業創出と雇用確保を通した市勢発展へ意欲を見せた。新たなリーダーに選ばれた本田氏に抱負などを聞いた。(聞き手・編集局長 菊池克彦)

 「子育て世代負担ゼロ」目標

 ―当選おめでとうございます。選挙戦を振り返ってまずは勝因を。
 「市は合併して12年になったが、何も変わらなかったという市民の声を聞いた。合併特例債で箱物はできたが、市民は生活に満足していない。市内でにぎわっているのは一部分だけとの感触も持つ。現状を変えてほしいと有権者が思った結果ではないか」

 ―真っ先に取り組みたいことは。
 「地域を活性化させるために、産業創出と雇用確保を第一に考える。誘致した養鶏業とバイオマス発電事業を成功させたい。田村にあるもの、田村にしかないものを核とした産業が必要だ。例えば木材産業の集積など、できることからチャレンジしていきたい」

 ―人口減少対策が急務となっている。
 「子育て支援は出生率アップにつながってこその施策だ。親が子育てをしながら働き、趣味も楽しめる、という環境をつくりたい。0歳児からの保育料や学校給食の無料化など、目指す究極は子育て世代の負担ゼロ。『もう1人、子どもを持とう』と思ってもらえるのが理想だ」

 ―震災、原発事故からの復興の課題と解決策を聞きたい。
 「農産物の風評被害はいまだ残っている。現状を理解してもらうため、積極的に外に出てトップセールスしたい。(避難指示が解除された)都路地区では生活できる仕組みが必要だ。双葉郡の林業再生の鍵は都路が握っていると思っている。森林組合と連携して事業を展開する。福島イノベーション・コースト構想で木材建築材の先端技術、積層接着剤のCLT(直交集成板)と畜産の分野が未決定なので、市全体で計画を本気になって検討していきたい」

 ―市の将来像をどう考えているか。
 「旧町村、大字単位でそれぞれに良さがあり、課題もある。市民の声を市政に反映させるための地域づくり協議会を各地に設置したい。市の職員が地域づくりのたたき台を作り、市民に入ってもらって計画を煮詰め、自分たちの地域をどうしていきたいかを考えてほしい。そこで出たまちづくりのアイデアを市がしっかりと支援していく」

 ―最後に新しいリーダーとして市民にメッセージを。
 「田村市に必要なことをどんどんやっていくつもりでいる。私は言葉よりも行動で示すタイプだと思っている。長期的な目標も大切だが、現実的なものを積み上げ、市民が活躍できる環境を整えたい」