手探り続く「主権者教育」 18歳選挙権施行1年、実効性必要に

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 選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げた改正公選法施行から1年がたち、県内の全県立高90校で主権者教育の本年度計画がまとまった。初めて10代が選挙権を得た昨年7月の参院選をはじめ県内でも各市町村長選などが行われており、教育現場には実効性のある主権者教育の継続が求められている。各校の計画には模擬選挙などの取り組みが多く盛り込まれているが、真に生徒の主権者意識を高める教育を実行できるかどうかは未知数で、教員は試行錯誤を続けている。

 ◆◇◇模擬選挙が浸透

 高校3年生の一部を含む18歳への選挙権適用から1年。県内の高校では主権者教育の浸透が見られる。県教委は全ての高校に、1~3年の各段階に応じて授業やホームルームなどを活用して、どのような主権者教育を実践するかの計画策定を義務化。ことし4月からは全校に1人ずつ、計画実行を主導する教員として「主権者教育推進コーディネーター」を配置している。

 そうした中、多くの高校が計画に盛り込んでいるのが、県選管や福島大と連携した模擬選挙「未来の知事選」だ。

 本年度の実施予定校は現時点で34校に上り、昨年度の年間37校に迫る勢い。このほか、生徒会選挙に合わせて模擬投票を行う学校も多くある。

 ◇◆◇時間確保が課題

 一方、進学校や職業系専門校などの教員からは「主権者教育に充てる十分な時間がない」との声も上がる。ある工業系高校の教諭は「イベント的に模擬選挙をしても意味がない。事前学習の時間をたっぷり取って実のある主権者教育を行うには、カリキュラム自体を変更しなければならない」と指摘する。

 各校は県教委の方針に基づいて計画を作っているが、主権者教育にどの程度時間を割き、どのような取り組みを盛り込むかは各校の判断に任せられている。各校とも主権者教育の重要性を認識してはいても、主権者教育の時間を十分に確保し、計画を実行できるかについては手探り状態だ。

 ◇◇◆投票率に地域差

 最も高いのが飯舘村長選の18歳で64.71%、最も低いのが郡山市長選の19歳で14.77%と大きな開きがある。有権者数などが異なるため単純比較はできないが、主権者教育に対する教員間の温度差や学校間の取り組みの差が投票率に反映される可能性もある。

 また、多くの市町村で18歳の投票率が19歳よりも高い。これは全国的な傾向で、18歳選挙権適用後初の国政選挙となった昨年の参院選では、18歳が51.28%(本県46.78%)、19歳が42.30%(同35.80%)だった。理由として、19歳は進学や就職で住所変更をせずに引っ越し、転居先で投票権を得られなかった人が多かったことに加え、70年ぶりの選挙権年齢の引き下げに伴い、高校や地域団体などが積極的に主権者教育に取り組んだことで18歳の意識が高まったことなどが指摘されている。県内の高校でも、この機運を一過性にせず、実効性のある主権者教育を継続していけるかが問われている。