相馬市長選・5選の立谷秀清氏に聞く 「復興をチャンスに」

 
当選に笑顔を見せ抱負を語る立谷氏

 相馬市長選で新人を退け、県内市長で最多の5選を果たした現職の立谷秀清氏(66)が24日、福島民友新聞社のインタビューに応じ、復興の仕上げや市勢発展に意欲を見せた。(聞き手・編集局長 菊池克彦)

 ―5度目の選挙。重点的に訴えてきた点は。
 「建設的な復興をしていくこと。単に再建するだけでは復興にならない。これからは震災や津波で失われたものをプラスに変え、新しい時代につなげていく必要がある。市民と協力して新しい相馬をつくりたい」

 ―復興の仕上げをどのように進める。
 「津波で失われた沿岸部の直売所を再生させる。観光資源になるよう、どこよりも新鮮で安く、安全な魚を提供したい。税外収入による今後30年間の給食費無料化も実現させる。相馬福島道路などハード面の整備が進む中、次のステップとして海水浴場や潮干狩りの再開という仕事もある。今回の選挙で相馬市の将来の設計図の一例を示したが、市民と共に未来を考えていく良い機会になった」

 ―復興・創生期間で残された課題、その対応は。
 「ハード面はほぼ整った。ソフト面については放射能の検査をどこまでやるか、風評被害対策、被災事業の業種別の支援などが残されている。食品の安全に関しては内、外部被ばく検査や地表面の線量検査を通して安全だと断言できる。しかし、全国の人々からの理解は乏しいのが現状だ。地産地消を県全体で考え、国策で風評被害対策を進める必要がある」

 ―人口減少対策は。
 「市民が適切な職業に就き、幸せに暮らせる環境づくりが重要。給食費無料化は子育て支援の目玉政策でもある。放課後児童クラブの開設や保育士に対する奨学金制度など、さまざまな政策を展開していきたい」

 ―観光振興については。
 「相馬福島道路の整備で福島市との距離が近くなる。福島市と連携して相馬の『海』と福島の『温泉』を含めた広域的な観光圏を構成し、魚を食べて温泉に入り宿泊できるようなパッケージづくりを考えている」

 ―市民に改めてメッセージを。
 「相馬で生まれた人たちが将来にわたって地道に生活していく環境が重要だ。そのために復興や産業再生を進めてきた。復興をチャンスと捉え、より良い相馬市をつくっていきたい」