小高区復興へ「政策」に注視 避難指示解除後初の南相馬市長選

 
南相馬市小高区に掲示されている両候補のポスター。住民や選挙権を持つ高校生らは古里小高の復興政策に注目している

 21日投開票の南相馬市長選は、東京電力福島第1原発事故に伴い同市小高区などに出されていた避難指示が解除されてから初めての市長選となる。「18歳選挙権」も初めて適用されることから、同市小高区の住民や地元の高校生は古里復興に向けた両候補の政策に視線を注いでいる。

 立候補しているのは新人で元市経済部長の門馬和夫(63)、3選を目指す現職の桜井勝延(62)の両候補。原発事故で同市鹿島区などに避難し、2016(平成28)年7月に同市小高区に戻った田中ヨシさん(78)は現在、災害公営住宅で暮らしている。田中さんは「子どもたちの活力あふれる姿を見ると元気がもらえる」と強調。両候補の訴えを比べながら「子どもたちの声が響く活気ある小高に戻し、医療体制も充実させてほしい」と期待を寄せる。

 両候補の同市小高区での政策を見ると、門馬候補は住民の関心の高い医療分野を重点に、病院の入院機能再開を掲げる。桜井候補は旧避難区域の再生、発展に向けた復興拠点の整備などを訴える。

 昨年4月に開校した小高産業技術高3年の鈴木健矢さん(18)=同市鹿島区=は「若い人の意見に耳を傾けてくれる人を選びたい」と話し、古里のために1票を投じるつもりだ。鈴木さんは「子どもたちが安心して伸び伸びと活動できる環境が整備されれば地元の人たちも元気が出るのではないか」と語った。

 南相馬市によると、昨年12月31日現在で同市小高区には1094世帯2412人が居住、帰還率は約28%にとどまっている。