「浪江町長選」終盤の情勢 2陣営、避難町民に支持訴え

 

 故馬場有前町長の辞職に伴う浪江町長選は2日、5日の投開票に向け終盤戦に入った。いずれも無所属で新人の団体役員吉沢正巳候補(64)と前町議会議長吉田数博候補(72)の両陣営は、多くの町民が避難する大票田のいわき、福島、南相馬、郡山、二本松各市を中心に遊説を展開、浮動票の取り込みなど支持拡大にしのぎを削っている。

 吉沢候補は東電慰謝料月50%増額、福島第1原発の汚染水の海洋放出反対、浪江オリジナルの燃料生産農業を重要政策に掲げ、町民と討論しながら支持拡大を図る。針谷勉選対本部長は「口コミで知名度が向上している。政策の浸透にも手応えを感じる」と語る。

 吉田候補は「まちのこし」を訴えた馬場町政の継続を目指し、町民の生活再建や古里浪江の再生・復興、被災経験継承の3本柱を掲げ、遊説を展開する。紺野栄重選対本部長は「町民が帰還することが復興の基本。環境整備を強く訴えていきたい」と話す。

 両陣営は投票率について、町民の9割以上が今なお県内外で避難生活を送る影響で、前回2015(平成27)年の56.05%を下回る40~50%と予想。当選ラインを3200~3000票台後半と想定している。