「自立」編へ意見や感想【番外編 上】読者から多数の意見 議論深めるべきテーマ

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連載記事を切り抜いて保管しているいわき市の男性。「連載で取り上げた内容を、県外の人にも知ってほしい」と話す

 原発事故避難者の自立をめぐる課題や取り組みの現状を報告した連載企画「復興の道標 自立」(11月29日~12月6日、全8回)には、読者から多数の意見、感想が寄せられた。その一部を紹介する。

 「ようやく記事になった」。いわき市民の男性(56)は、避難者の「支援慣れ」の実態などを描いた初回の「『お願い、当然の権利』 再起阻む『支援慣れ』」を読んで、そう感じたという。

 賠償金のほか、医療費の免除も受ける避難者が多く住むいわき市。この男性は、震災で壊れて修繕も行き届かない自宅に住む。一方で周りの避難者の中には、土地を購入して家を建て、一人で複数の車を所有する人もいるという。

 「病院の待合室では自分たちが優先とばかりに陣取る。事故後しばらくは彼らに同情したが、時がたつにつれ、受け入れ先の生活空間を間借りしている意識が薄れていっているのではないか」

 こうした避難者は一部にとどまるものの、男性は避難者に対してそんな意識を持つようになった。「今の状況を国が放置しているのは異常」。男性は現状を県外の人にも知ってもらい、議論を深めるべきだと主張する。

 また、同30日付の記事「将来見えず生活困窮」で賠償金を使い果たして生活保護に頼る話に驚いたという声もあった。「依存体質、被害者意識が高じ、何でもしてもらえるという意識が強くなってしまったのではないか。精神的に自立しているとは言えない」

 避難者の自立に向けた課題として記事が指摘した「支援慣れ」については、特に多くの意見が届いた。浪江町を離れ、いわき市で生活する避難者の内科医尾沢康彰さん(63)は「避難者は震災当初、多くの支援に感謝した。しかしそれが続くと当たり前になり、やがてそれを権利と考えるようになる」と振り返る。

 その上で「支援の在り方をめぐる問題が当初から存在していたのは明らかだったのに、それに触れることをタブー化してしまった。マスコミはもっと早くから、支援の在り方について問題点を提起すべきだった」との意見を寄せた。

 記事への批判も届く

 自立に向け、前を向いて日々の生活を送っている避難者からは、記事に批判的な意見も本紙に寄せられた。

 県外で働く避難者は「医療費免除や高速道路無料化が自立を妨げるという話は残念。支援慣れというのは、いささか乱暴です」と指摘した。

 また、子どもがいる女性は「『支援慣れ』。そうですね、そう言われても仕方がないかも。でも分かってほしい。私は早く終わらせてほしい。早く仮設からきちんとした住居に移り住み、引っ越しをしなくてよい生活に戻してほしい。行き先が定まらず、子どもの学校も定まらない」と苦悩する避難生活の様子をつづった。

 一方、避難区域外の福島市民などからは自立の必要性を指摘する意見が相次いだ。「被害者の立場は理解するものの、東京電力や国の批判にばかり重点を置くことなく自立に向けてかじを切ることも併せて考えるべきだ」「5年がたとうとしているが、避難していない人も頑張っている。(避難者の)無料や免除という時期は終わりにしてもいいのではないだろうか」「酷なようだが賠償金の打ち切りを考えることにより、自活する道を見いだそうと真剣に自分を見つめる目が見開いてくるのではなかろうか」

 (2015年12月10日付掲載)