「自立」編へ識者の意見【番外編 下】古川雅之氏・県社会福祉協議会 常勤副会長

 
「避難者に寄り添った長期的な支援が求められている」と語る古川氏

 ◆古川 雅之氏

 生活支援重要性高まる

 避難者をめぐり、震災、原発事故発生当初の情報があたかも現在の状況のように語られることがある。連載を通じ、避難者の現在の姿を広く知ってもらえたのは良かったと思う。

 避難者には、生活再建を進める人がいる一方、病気の人や障害を抱えた人もいる。自立に向けて寄り添っていくのが私たちの役目。一括で受け取った賠償金を使い切ってしまう人には、社会福祉協議会の担当者が家計の相談に応じるなどの支援が可能だ。

 古里に帰りたい避難者にとって、仮設住宅から鉄筋コンクリートの復興公営住宅に移っても「仮住まい」が続くことになり、ストレスもたまる。生活支援相談員の重要性はさらに高まる。

 相談員が単年度雇用であることは大きな問題だと思う。さまざまな相談に応じるための技術を持つ相談員が安定的に働けることが、避難者への長期的な支援に欠かせない。

 (2015年12月12日付掲載)