【復興の道標・作業員-4】除染の仕事失い困窮 生活保護制度の課題

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福島市では、元除染作業員の生活保護に関する相談が増えている

 「住む場所もなく、金もない。何とかしてほしい」。郡山市で生活困窮者への支援に当たる男性(52)に昨年2月ごろ、名古屋市から本県に来たという男性から電話で相談があった。県内で除染作業員として働いていたが仕事が続かず、職と寝床を失った。

 元作業員は後日、リュックサックに荷物を詰め込み、約束していた場所に姿を見せた。作業員の宿舎から退去し、サウナで寝泊まりしているという。県内に長くとどまるとは到底思えなかった。

 元作業員に障害があることもあり、相談を受けた男性は専門の機関に対応を委ねることにした。元作業員はその後、北海道まで流れ歩き、現在は生活保護を受けて生活している。

 「金を前借りしたから会社は辞められない」。楢葉町で国の直轄除染に従事していた北海道の男性(49)は、群馬県から本県に来ていた同僚の男性がこんな話をしていたのを覚えている。

 同僚の金遣いの荒さは気になっていた。「金がない」とぼやく一方、作業員同士で酒を飲む時はたいてい「俺が払う」と大盤振る舞いした。給料が手に入っても、無計画に散財してしまう人はほかにもいた。

 男性が勤務していた建設会社はその後、賃金をめぐるトラブルで除染の下請けから締め出された。仕事がなくなるため男性は会社を辞めたが、この同僚の行方は分からない。

 「生活保護を受けるにはどうすればいいんですか」。福島市役所2階の生活福祉課の窓口。健康問題などで働けなくなり、困窮する元除染作業員が生活保護を申請するケースが目立ってきた。昨年度は41件の相談があり、12件の申請が認められた。

 生活保護費は国が4分の3を負担するが、残りは原則として市町村が負担する。「原発事故がなければ作業員の流入もなかった。費用は国が負担するべきではないか」。課長の加藤睦雄(55)は、市民が払う税金の一部が保護費に使われている現状に疑問を持ち、国などに対応を求めたが、対策が講じられる気配はない。

 生活困窮者を支援する郡山市の男性は、除染作業の人手不足でさまざまな人が本県に流れ込む構図が続く限り、一部で困窮者が生まれる状況は変わらないとみる。

 「条件の良さでホームレスの人を集めても『労働条件が当初の話と違う』などの理由で長続きしない。そうした人が行き場をなくす。(貧困層を食い物にする)『貧困ビジネス』の典型だ」(文中敬称略)

 (2016年1月10日付掲載)