「作業員」編へ識者の意見【番外編 下】石川俊氏・石川建設工業社長

 

 ◆石川 俊氏(南相馬市で除染に関わる)

 雇用環境整備が必要

 除染作業は本来なら自分たちでやりたいが、作業が膨大で急ぐ必要があるため、県外の人の力を借りているのが現状だ。復興が進むにつれ、建設業界で働いた経験のある人は別の現場に流れていき、経験の少ない人たちが全国から集まる結果となった。健康問題や雇用問題など、地元でうわさレベルで語られていることが事実として提示されたと、連載を読んで感じた人は多いと思う。

 メディアは「作業員」と呼称するが、雇用されている人なら「会社員」と呼べばいいはず。その呼び方も、県民からのイメージを悪くしている理由の一つではないか。

 東京では、五輪に向けた事業も今後本格化する。働く人がきちんとした社会的評価と収入を得て、健康に暮らせる環境を整備しないと、この地(被災地)で継続的に働く人がいなくなる恐れもある。復興のための仕事に就くことを促すような国の政策を期待している。

 復興加速化のため、大量の人員が投入されてきたのがこの5年間だった。しかし本来、復興は地元業者の仕事だ。これからは、地元業者が長期的な視野で担っていけるような事業の在り方を望んでいる。

 (2016年1月15日付掲載)