「賠償の不条理」編へ識者の意見【番外編】渡辺真也氏・弁護士
◆渡辺 真也氏(原発事故関連の訴訟を担当)
自立に向け支援策を
避難区域外の事業者へ東京電力が示した昨年8月以降の「2年分」の賠償は、法律に基づいたものではなく、感覚的には「示談金」に近い。事業者の不満が指摘されているが、「示談します」と申し入れた側の東電が「あなたは違いました」と言うのでは、事業者が怒るのも仕方がないのではないか。
加害者側の東電が決めた賠償を受け入れるか否かだけの仕組みで、実質的な賠償の終期を東電が決めたことも問題だと思う。
事業者の減収にはさまざまな要因があり、統計資料を出しても風評被害を決定的に立証するのは難しい。賠償の枠組みを決めてきた中間指針の中で終期を決めるべきではないか。
事業者の「自立」は、業種によっても(風評被害などの影響に)濃淡があり、今はまだ一律にみるのは難しいのではないか。
商圏が失われたケースなど、自立に向けた課題は全て賠償で解決できるわけではない。一時的な金銭ではなく、商圏の回復を図る施策など持続して事業を継続できるような支援も必要だ。
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