「不信の連鎖」編へ識者の意見【番外編 下】野口邦和氏・日大准教授

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野口邦和氏

 ◆野口 邦和氏(放射線防護学が専門)

 福島県訪問、誤解解く鍵

 県産農産物の安全性を説明すると「原発事故の被害を矮小(わいしょう)化するのか」と反発する人がいる。それは「原発事故が深刻な大事故だ」ということと「原発事故による県民の被ばくや汚染が深刻である」ということを誤って混同してしまっている意見だと思う。「安全である」という発信を「原発事故そのものが軽視されている」と受け止めるのだろう。

 大事故なのは確かで、政府や東京電力の責任は明らかだ。しかし食品の出荷制限や検査体制など、十分とは言わないまでも事故直後から迅速な対応が取られたことも事実だ。事故そのものの評価と、事故による被ばく・汚染の評価を混同せず、両者は切り分けて考えるべきだと強調したい。

 連載第1回で塚田祥文(ひろふみ)福島大環境放射能研究所副所長が指摘したように、放射線防護の分野で誤ったことを発信する専門家が存在し、国民に混乱をもたらした。また除染の効果などを巡っては政府の説明不足が目立ち、人々の不信を招いた。

 こうした現状の中では、連載第2回でNPO法人代表が指摘しているように、国民に本県を訪れてもらうことがやはり大事で、誤解を解く鍵となる。

 (2016年4月15日付掲載)