『豊間に住んで子育てを』 津波被災の住民有志、宅地売り込み

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 東日本大震災の津波で被災したいわき市豊間区の住民有志たちが、土地区画整理事業で整備された宅地を子育て世代に売り込み、定住を促進するマッチング活動を始めた。

 豊間区とふるさと豊間復興協議会などが「豊間に住んでみらっせ友の会」を設立し、事業を進める。6年以内で150世帯の定住を目指す。

 現在の同区の世帯数は、被災を免れた約220世帯と、災害公営住宅に住む約200世帯。約100世帯はすでに地区外に家を建てている。

 同区に住む住民の多くは高齢者で、児童数は30人程度。子育て世代の定住を促進し、震災前の世帯数に戻し、懸念されている高齢化や限界集落化の解消を図りたい考え。

 市内では、双葉郡からの避難住民を中心に宅地の需要が高まり、地価の高騰が続いている。低コストの住まいを求める子育て世代の需要に応えるため、同区を支援してきた東京の建築士や地元工務店などと連携し、年収400万円程度でもマイホームを建てられるプランを提案する。

 そのほか、母親同士の交流の場の整備を検討している。

 同区には震災前、約620戸の住宅があったが、津波で約400戸が失われた。土地区画整理事業により整備される宅地350区画のうち、購入された宅地は約50戸分。

 同協議会の遠藤守俊会長(72)は「ハード面の整備が進み、町づくりが新たな段階に入る。かつてのにぎわいを取り戻したい」と話した。