広がる絶景、夜の森の桜 来春の観桜会、バスで帰還困難区域も

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「夜の森の桜並木」の地図

 「息をのむほどの絶景だった」。東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となった富岡町夜の森駅前北行政区の宮本和之区長(70)は、延々と続く桜並木の美しさが忘れられない。町民の根強い要望を受け、町は来春、町のシンボル・夜の森の桜並木のうち、帰還困難区域に含まれている範囲でも観桜できるよう国との調整に乗り出した。

 桜並木は「桜のトンネル」として町民に愛され、JR夜ノ森駅周辺の2.5キロの区間に約400本のソメイヨシノが植えられている。

 原発事故後、帰還困難区域のバリケードで分断され、住民が観桜できるのは0.3キロの区間のみで、残り2.2キロは自由に立ち入ることができなくなった。

 町は来年4月6、7の両日に開催を予定する「桜まつり」で、2.2キロの区間をバスに乗って花見ができるようにする。桜並木は再び人が住めるよう整備する特定復興再生拠点区域(復興拠点)に含まれ、国による除染が進んでいる。町によると、11月末の桜並木周辺の空間線量はおおよそ毎時0.2~0.7マイクロシーベルトという。

 「帰還困難区域でも復興が進んでいる姿を見てほしい」。町企画課の担当者は、桜まつりに訪れた町民のほかに県内外からの来場者もバス乗車の対象とする計画を描く。

 通常、帰還困難区域に入る際は煩雑な申請手続きや身分証の提示が必要で、町は簡略化できないかどうかも国と調整する。

 原発事故前、開花時期になると、桜並木には全国から10万人以上が訪れていた。「大阪から毎年のように観桜に訪れる人もいた。ものすごいにぎわいだった」。相馬市で避難生活を続ける宮本区長はかつての光景を懐かしんだ。バスで桜並木の全てを巡る計画を喜び「桜並木は町民の誇り。バスの中からでも観桜できれば復興の状況が広く伝わる機会となる」と期待を膨らませた。