避難生活の双葉町民に勇気を 映画「盆唄」、いわきで試写会

 
試写会に出席した中江監督(前列左から2人目)や双葉町民ら

 双葉町の「双葉盆歌」を題材に製作されたドキュメンタリー映画「盆唄」の試写会が17日、いわき市のまちポレいわきで開かれた。

作品を手掛けた中江裕司監督は「100年、200年後を思い浮かべ製作した。各地で避難生活を続ける双葉の皆さんに勇気を与える作品になれば」と思いを語った。

 映画は中江監督が2015(平成27)年から3年の歳月をかけて製作。震災と原発事故により避難生活を余儀なくされている双葉町の人々が、移民によって踊り継がれてきた「フクシマオンド」を踊るハワイの人々に、町民の間で親しまれてきた双葉盆歌の踊りを受け継いでもらおうと取り組む姿を追った。

 双葉盆歌やハワイ、双葉町の人々のルーツにも迫り、人々にとっての盆唄の存在について問い掛ける。  試写会を訪れた同町の伊沢史朗町長は「この映画を通じて町で踊っていた盆踊りの歴史やルーツについて理解や考えを深めることができた」と感想を述べた。

 出演した双葉町民の今泉春雄さん(65)=本宮市に避難=は「撮影が始まった当時は、まだ双葉に戻れる見通しは立っていなかった」と振り返り、「作品の中で現在の自分たちの心情と共通するようなシーンがあった。各地に避難する双葉の人たちにもぜひ見てもらいたいと願う」と話した。

「盆唄」は2月15日から、同館やフォーラム福島、テアトル新宿で上映される。