具体性に欠ける"青写真" 調査や説明会、理解得られるか

 
具体性に欠ける

楢葉町で進められる中間貯蔵施設建設候補地のボーリング調査=7月12日

 政府は、中間貯蔵施設を整備する際に必要な構造など安全対策について青写真を描き始めた。汚染土壌を運び込む施設は谷地などを利用した廃棄物処分場のような構造に、廃棄物を搬入する施設は屋内型を描く。しかし、設置場所が決まらないため具体性に欠けている。

 大熊町では5月から、環境省がボーリング調査を行っている。地下水の流れの調査や盛り土試験、交通量調査、環境調査なども実施に移りつつある。井上信治環境副大臣は7月、施設の絵姿を9月下旬に示すと表明。一方で施設の整備範囲など核心部分について、環境省と町との協議の場は一度もない。新たな生活に踏み出したい住民からは、先行きを問う声が多く上がる。町は情報収集に当たるが、具体的な内容は見えてこない。

 同省は、双葉町に対しては調査候補地を2カ所示している。町は「議会の合意と住民の理解が得られないうちは進められない」としたため、同省は候補地周辺の住民を対象に事前調査についての説明会を7月に県内外で開催。8月28日から今月1日にかけては、全町民を対象にした説明会を開いた。町は今後、事前調査の受け入れについて判断する方針だ。

 楢葉町では7月から、北部の波倉地区で地盤などを調べるボーリング調査が行われている。井上副大臣は8月下旬、町に調査の進行状況を報告、「基礎地盤が固く安定しており(建設に)適切だ」と述べた。同省は今月中に調査の最終的な結果を報告する方針だ。ただ、同町は町内で発生した1キロ当たり10万ベクレル以下のものに限る「保管庫」を前提に調査を受け入れており、同省との溝は浅くない。

 政府は、原発立地4町のうち富岡町にだけ、既存の民間施設を利用した管理型処分場の設置を求めている。原発事故に伴う県内の指定廃棄物などを搬入する計画で、量は約70万トンを想定。環境省は今月下旬に具体案を示す考えだ。