中学生進路指導、情報不足で頭痛める 生徒本位の支援を

 

 双葉郡の教育の在り方をめぐる議論は、今後の高校生活を思い描く中学生や、教育現場での進路指導に大きな影響を及ぼす。

 会津若松市の仮設校舎で生徒たちが学ぶ大熊町の大熊中。3年生への進路希望調査では、会津の高校への進学希望が多く、次いでいわき市という状況。一方では、浜通り以外の高校の情報不足が、生徒も保護者も、進路指導の担当教諭をも悩ませる。

 同校で進路指導を担当する鈴木美和教諭は「まず保護者から聞かれるのは『何点取れば合格できる学校なのか』。浜通りの学校ならばある程度情報が頭に入っているが、会津の学校などは把握しきっていない」と頭を痛める。

 避難先の三春町の仮校舎で授業を行う富岡一、富岡二中の教員は同様に、中通りの高校の情報の少なさを課題に挙げる。学校の特色や、入試状況などの蓄積が少なく「的確な進路指導が難しい」と悩みは深い。

 二本松市に開校している浪江町の浪江中で3年生の進路指導を担当する蓬田恵美子教諭は「3年生23人はいわきや郡山、福島、相双などの計21校で体験入学をするなど積極的に進路を考えている」と話す。「卒業生がばらばらになってもしっかり自立して夢や希望に向かってほしい」と現実を見据えた指導方針で生徒たちと向き合う日が続く。

 こうした町村の教育現場の苦悩に対し、県教委や文部科学省は支援できないのか。生徒本位の被災者支援が問われる状況だ。