Q:ベクレル単位の意味は A:放射線を出す物質の数

 
Q:ベクレル単位の意味は A:放射線を出す物質の数

 東電福島第1原発事故による汚染水問題で「ベクレル」を単位とする放射性物質濃度が急激に上昇、県民の不安が募っている。9日には作業員が汚染水を浴びる事故もあった。一方、人体への影響について専門家は冷静な反応を示す。

 Q 「ベクレル」の単位の意味は。

  1秒間に放射線を出す放射性物質が何個あるかを表している。

 Q なかなかイメージしにくいが。

  そもそも原子の真ん中には原子核があって安定しているものと、そうでないものがある。不安定なものは放射線などを出して安定した別の原子に変わろうとするので、放射性物質と呼んでいる。1秒間に放射線を出した物質が1個あれば1ベクレル、10個あれば10ベクレルだ。

 Q 汚染水は20万ベクレルなどと極めて大きな数字だ。1秒間に20万もの放射線が出たことになる。汚染水を浴びた人には大変な影響があったのでは。

  人体が放射線を浴びてどのぐらいの影響があったかは「シーベルト」という単位で見ている。実は外部被ばくの場合、「AベクレルだとBシーベルトになる」という関係はなく、ベクレルの大きさだけでは判断できない。

 Q それは、なぜ。

  まず、放射性物質によって出す放射線が違う。セシウムはガンマ線という、物質を突き抜ける力の強い放射線を出すが、ストロンチウムやトリチウムは、そうした力の弱いベータ線(電子)を出す。放射性物質からの距離や、その間に水など放射線を遮る物があったかどうかなど、さまざまな要因でシーベルトの数値は変化する。今回の事故では、人体への影響が大きなガンマ線で0.11〜0.42ミリシーベルト、目の角膜などに影響するというベータ線で0.2〜1.2ミリシーベルトの外部被ばくがあったとされる。

 Q 内部被ばくはどうか。

  放射性物質が体内に入ると、体の中には放射線を遮る物がないので一定の係数からベクレルをシーベルトに置き換えられる。食品に含まれるセシウム濃度の基準値は、この係数が基になっている。東電は今回の事故で「内部被ばくはなかった」と説明している。