「請戸漁港」復旧始まる 震災後初、公共施設の復旧工事

 
「請戸漁港」復旧始まる 震災後初、公共施設の復旧工事

復旧工事が始まった請戸漁港で現場を視察する県の関係者

 震災の津波で被災した浪江町・請戸漁港はようやく災害復旧工事が始まった。東電福島第1原発事故の20キロ圏内にある同町沿岸部。同漁港の復旧は震災後初の本格的な公共施設の復旧工事となる。

 同漁港の復旧は、県がおおむね3年間で約47億円をかけて漁港全体37施設を再建する。最初に着工したのは、津波で海上部分がほぼ流出した東防波堤の復旧。東防波堤の決壊で現在、港内に波や土砂が流入しており、県は東防波堤の復旧を先行させた。工事では、来年3月下旬までに延長98メートルにわたり消波ブロック約1300個を積み上げる。併せて仮設道路約440メートルを整備することになっている。

 「避難区域沿岸」ほぼ手つかず

 東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた県内沿岸部の災害復旧は東京電力福島第1原発事故の影響で進まず、特に福島第1原発に近い避難区域は2年9カ月を迎える今もほぼ手つかずの状況だ。

 県の発表によると、12月1日現在の県による海岸の復旧工事は、災害査定を終えた154件のうち21件の完了にとどまり、完了率は県全体の54%を大きく下回る14%にとどまる。避難区域は災害査定すら始まっていない地域も多いため、復旧にはかなりの時間を要するとみられている。